出典:©2019「天気の子」製作委員会
新海誠監督の前作『君の名は。』は世界135カ国で上映されましたが、今回、天気の子は140か国で上映されています。
圧倒的な認知度で膨大な興行収入を得ており、アニメーション映画の行く末をリードしている、正に王道的な作品になっています。また、近年増加する一方の日本の自然災害にスポットを当てていることにも注目です。
『悪』と『善』の対立ではなく、自然と神様と(人間の許容を超えた)天気についての物語です。『君の名は。』に続いてRADWIMPSが楽曲提供している点も興味深いポイントです。
天気を操る選ばれた使者(天野 陽菜)を運命が弄ぶ
伊豆7島の小島からフェリーに乗って逃げるように家出した高校1年生の主人公森嶋帆高(もりしま ほだか)は、中学を卒業したばかりのまだ、垢抜けない容姿のせいでアルバイトの面接にもことごとく落ち、ほぼ、ホームレス状態になりました。しかし、主な活動範囲である新宿の一角で「オカルト情報誌」の事務の仕事を見つけます。ようやく安定した仕事にありつけたと安心した時に、運命的に本作のヒロイン・天野 陽菜(あまの ひな)と出会います。
彼女はビルの上に建てられた神社の不思議な力に導かれた「晴れ女」でした。彼女が祈れば必ず晴れる。時に、ドラえもんの道具のようにスポットライトが当たるように晴れる。情報はネットを通して拡散し、3人(ひなの弟もいつもくっついてくる)は一躍刻の人になりました。しかし、ひなには非情な運命が待っており‥。『天空の城ラピュタ』のような壮大なクライマックスが待っています。
二人の絆は?運命は?
「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」「今から晴れるよ」
「あの夏の日、あの空の上で僕たちは、世界のかたちを変えてしまったんだ」と名言が多いこの作品です。ストーリー全体としてひなが、人柱のような存在に映るシーンが多くみられます。しかし、二人の紡ぐセリフには、常に主観的で常に前向きな姿勢がみられます。自分たちが「世界の天気」に対する舵を持っているのだと言わんばかりに‥。しかし、若くて無鉄砲な二人の表情も徐々に陰りを見せはじめます。
ひなは帆高が気付くよりずっと前に自分の身に起きている異常に気づいていました。それでも気丈に振る舞っていたのは何故なのか!?深い洞察力が必要なストーリーです。
独特なキャラクターデザイン
小説版を読んだ時に正直『君の名は。』に続く作品として、設定が繊細すぎやしないかという感想もありました。『君の名は。』があまりにも壮大なテーマでわかりやすさもあり、万人受けするタイプの作品だったからです。しかし、アニメーションでのひなが空に舞い上がる姿は、確かに壮大で、帆高が今にもその存在が消えてしまいそうなひなを必死で追う姿は『君の名は。』を思い起こさせる感動的なシーンになりました。
新海誠監督の紡ぎ出すストーリーは毎回奥が深く、見る度に表情を変える不思議な力があると思います。因みに『君の名は。』に出てくるキャスト・立花 瀧(たちばな たき)や宮水 三葉(みやみず みつは)とその妹、みつはの同級生などもチョイ役で出演しているので是非、探してみてください。
文章:Shinichiro.S