出典:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
圧倒的な力の差
絶体絶命の炭治郎を庇ったのは、先ほどまで炭治郎の背中の木箱にいた禰豆子でした。
今までポーカーフェイスを保っていた累の表情が、大きく崩れます。
本物の兄弟愛に深く動揺し、「欲しい!!」と心から思います。
当然、拒絶した炭治郎ですが、次の瞬間、炭治郎の頭上に蜘蛛の巣に捕まった禰豆子の姿がありました。
炭治郎は禰豆子を取り戻す為に、累と必死に戦いますが、全く歯が立ちません。禰豆子が騒ぐので、累が糸を操り身体の肉に深く食い込ませました。
炭治郎は感情的になるなと自分を落ち着かせ、呼吸を整え、全集中して、再び累に挑みますが、圧倒的な力の差に死がよぎり、走馬灯を見始めます。
父と母からの言葉
まだ父が生きていた頃の姿が見えていました。
「炭治郎。呼吸だ、息を整えてヒノカミ様になりきるんだ」
「炭治郎。この神楽と首飾りだけは必ず途絶えさせず継承していってくれ。約束なんだ…」
と父の言葉がよぎり、絶体絶命の炭治郎は、ヒノカミ神楽という技を解き放ちます。
同じ頃、蜘蛛の巣で気を失っていた禰豆子の脳裏に母の姿が見えます。
「お兄ちゃんを助けるの。今の禰豆子ならできる。」
「頑張って…お願い…禰豆子…お兄ちゃんまで死んでしまうわよ…」
と母の言葉がよぎり、禰豆子は、血鬼術・爆血を放ちます。
2人の攻撃で累の首が飛んだところで、今回の話は終わりました。
偽りの家族
「妹を頂戴」と言った累に対して、炭治郎は「何をいっているか分からない」と返します。
累は心配しなくても恐怖の絆を教えると言います。それでは元も子もないではないか。
累には十二鬼月であることと、鬼としての限定されすぎた生き延び方しか理解できないようでした。
紛れもなく、世間一般が想像する『鬼』なのです。累の瞳には(下伍)の刻みがあります。
自らの血を分けて、初対面の鬼を家族として取り込む行為自体が、鬼舞辻無惨にならった既に偽りの家族の形だったのです。
まとめ
今回は間違い無く神回です。
那田蜘蛛山での一件は、劇場版になっってもおかしくないほどインパクトのある展開でした。
実際には2020年の秋に『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』の前日譚としてフジテレビで『那田蜘蛛山編』として2時間スペシャルで放送された経緯があります。
禰豆子の揺るがない思いを確認できた物語でもあり、炭治郎たち癸と柱(はしら)との実力差が見えた回でもあります。
そして、『家族愛』というテーマで炭治郎と累が対立するも、憎しみに発展せず淡々と誠意を体現する芯の強さが印象的な一作となりました。
この感動を心に留めながら是非『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』を観ると間違いないなと思います。
文章:S.Shinichiro