出典:©2024 香坂マト/KADOKAWA/イフール労働組合
◆ハンマーでバキッ!?
「処刑人」と異名をとった凄腕冒険者・アリナ・クローバーは、念願のギルドの受付嬢になった。
可愛い制服に身を包み、手厚い福利厚生、安全な職場、安定収入で毎日アフター5のハッピーライフと思いきや・・・
考えが甘かった。
実際には、荒くれ冒険者の対応。遅くまで書類整理のサービス残業。30年ローンを組んで手に入れた新居は、ただの寝る場所。有給休暇も消化できず溜まる一方。せっかくの休日も呼び出し当たり前。
自分でもビックリ!何で私っていつもカウンターで、笑っていられるのかしら?
アリナは怒りをどこにぶつけているのか?ストレス解消法とは?
叫ぶ!
新ダンジョンが発見されるたびに、ギルドに冒険者が殺到する。お宝目的にダンジョンに入る許可を得るためだ。書類整理が追い付かず、残業の毎日。攻略されない限り、いつまでもこの状態が続く。
こっそりダンジョンに入り込み、ラスボスを前にたじろぐ冒険者PTをよそに、巨大ハンマーを振り回して突撃。
「死ねえええええええ!」残業回避のため。
握りつぶす!
神域レベルのスキルが付与されるかもしれない遺物(レリック)。
まさにお宝。珍品。
「こんなもののために・・・」
それを手にしたアリナは思わず力が入って、握り潰す。
神域スキルが不要な握力だ。
ギルドマスターに当たる!

出典:©2024 香坂マト/KADOKAWA/イフール労働組合
正体がバレて副業する羽目に。
「処刑人」であることがギルドマスターの知るところとなり、残業回避のため受付嬢を倍にする条件と引き換えに、冒険者PTに参加することになった。
ギルドマスターのグレンの真の狙いは、魔神の生命の源である魔神核。
それを体内に埋め込むことで自ら魔神となり、死んだ娘を生き返らせるのだと。
だが、アリナの残業回避執念の前に計画は失敗。
療養中のベッドの上のグレンが「魔神核を体に埋め込んで魔神になれること、誰に教わった?」と責められているところへ、
「残業を減らすために受付嬢を倍にする話、どうなった?ああ?」
「うおおおおお!何も思い出せん!」グレンは突然叫び、ガックシ。変な知恵を働かせる。
まだ娘を生き返らせる望みを捨ててはおらんようだ。
そんな記憶喪失を装うグレンの頭にこそハンマーを活用すべし!
ドラえもんにもそんなひみつ道具があったような・・・
文章:ヒトツメロバ