出典:©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
『グレイプニル』第二話で北欧神話にまつわる悲劇的な題名であることは説明しました。
主人公の修一が自身が化け物になる際「喰っているのか」「喰われているのか」判らないといった点が『東京喰種(トーキョーグール ―)』にも似ているなと思いました。しかし、この作品の違いは、主人公の葛藤をいつもそばにいて現実に引き戻してくれるクレアの存在が大きいことだと思います。
修一の隠された記憶
今回はこのストーリーの実力的な中心人物エレナと元クラスメイトだった主人公の修一、そして「二人で一つ」と誓い合ったクレアを中心に物語が進みます。クレアはエレナの実の妹です。しかしクレアの記憶が正しければエレナは化け物になり父と母を惨殺した憎むべき相手です。
修一が犬のぬいぐるみに化けて背中のチャックからクレアが中に入ることで強くなる特殊能力により、また修一の犬ならではの嗅覚で、いつしかクレアの元を去ったエレナと再び対峙したクレアは、そこで化け物になった姉の姿を目撃します。そして修一はエレナに首からもがれてしまいます。
真実は想像を超える領域にあるのでしょう
エレナは修一のバケモノになった姿を見たときに、「そこは私の場所」と言い残しています。修一をこんな姿にしたのはエレナだったのです。しかし、エレナは人の記憶を塗り替えられます。
エレナと修一は元はクラスメイトで、修一とクレアは2つ違いです。また同様にクレアの記憶も本当かどうか疑わしいです。両親を殺した恨(うら)めしい姉を演じて、クレアを一人残したことにも理由があるのかもしれません。なかなか深く洞察力を働かせても先が見えてこない難しいストーリーです。
まとめ
実は執筆時点で第1シリーズのテレビ放送が13話完結しているのですが、完結時点でも尚、謎だらけ、、といった印象が強いです。そもそもが修一の「なぜ僕は化け物なんかに変身するんだろう」というところがスタート地点だったので、謎多き物語なのは確定済みだったのかもしれません。
とにかく「記憶を失った修一」と「そんな修一と一つになりたいクレア」「残忍な心を持つエレナ」の三つ巴が美しい第3話でした。
文章:S.Shinichiro