出典:©荒川弘・小学館/エゾノー祭実行委員会
原作は全15巻の漫画作品です。『鋼の錬金術師』の後に書かれたストーリーということで注目された漫画です。ハガレンのファンタジー感は何処へやら、北海道の農業高校で繰り広げられる青春ストーリーになっています。筆者も道産子ですが、荒川弘(あらかわひろむ)氏も出身が北海道ということもあり、ハガレンを踏まえても興味深い作品です。
ひろむという名前からよく間違えられますが、女性の作家さんです。そういえばハガレンも女性的な感性が際立っていた記憶があります。原作漫画は2019年まで連載されており、今なお注目を浴びている好評なアニメです。
舞台は帯広 きっと誰もは一度は憧れた!?
札幌育ちの主人公八軒 勇吾は(はちけんゆうご)は、家庭内の環境や受験のプレッシャーから逃れるため広い北海道の自由な空気を吸うために帯広市の大蝦夷農業高等学校(おおえぞのうぎょうこうとうがっこう)に入学することになりました。
寮生の学校なのでとりあえずの自由を獲得したゆうごでしたが、田舎の農業高校の生活は思っているほど生半可な物ではありません。実習を中心としたカリキュラムに最初は音を上げる日々でしたが、そんな日々にも徐々に慣れ始め、食物生産に携わる心構えや動物たちと人間が抱くエゴイズムについての葛藤など色々なことを学び成長してゆくのです。
恋愛要素も注目
全般に主人公が成長して行く様子を描写する正統派学園もののテイではありますが、視聴者の期待を裏切らず恋愛的要素もあります。御影アキは随所でゆうごの心の支えとなります。生命と向き合い、時に家畜の命をありがたく頂くことで共に成長して行く様子が都会で生きている私たちにとっては、ちょっぴり大人びて見えます。
まとめ
ハガレンではあんなにも命に対しての自由を訴え続けていた荒川弘氏の作品とは思えない程心理描写が繊細です。命の儚さというテーマで括れば同じことを訴えているのかも知れませんが、とにかくメッセージ性に富んでいて思わず見入ってしまう作品です。
農業高校の青春日記という難しいお題目を見事に演出していくさまはさすがだなと思いました。
文章:S.Shinichiro