出典:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
先ずこの作品は息子とママが内閣府の申し付けによりゲームの世界に転送されるところから始まります。このゲームは通称「MMMMMORPG」。ママの ママによるママのためのママと(息子or娘)が大いに仲良くなるためのRPGの略称です。
ママには圧倒的火力が備わっていた!!
前代未聞の親同伴転送型RPGゲームへの参加の知らせは、「しらせ」という内閣府からの使者により知らされました。「しらせだけに‥」、と序盤から作風のくだらなさ全開でアピールしてくるこの作品はジェネレーションギャップやシチュエーションギャップがふんだんに盛り込まれています。
王に導かれし戦士となるべく一本の剣を抜いた息子のマー君に対してママは、伝説の剣を2本同時抜きします。チュートリアルでの戦いでは既に、主人公のマー君の絶妙にショボイ攻撃に対して、ママは、通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃であることが判明します。
独り立ちしたいマー君と圧倒的火力で息子への愛を示し続けるママ。2人の冒険はまだ始まったばかりです。
「しらせ」のおかげで「天下一母道会」という大会にママが出場することになったり、その優勝記念品が「親子アルバム」だったり、2人を存分に振り回すRPGの世界を堪能しましょう。
日常的ファンタジーアニメーション
内閣府が計画したこのMMMMMORPGとは、まだほんの開発初期段階の状態であり、町人が「へのへのもへじ」的な顔だったり、アカウント登録を、王様との面会時に直接おこなったりと油断も隙もない印象があります。
舞台環境としては47都道府県を視野に入れながら、作中ではベータ版の状態で東京都と範囲を区切って運営されているようです。
RPGの王道であるレベル上げやお金稼ぎ、キャラクタースキルや治癒・蘇生など様々な要素が物語を躍動させています。
様々なギャップが大切なものを気づかせてくれる
大抵の人はRPGゲームをするときには孤独を抱えているでしょう。そして、ゲームの中だからこその現実味のある友情や愛情に出会うことでしょう。
そういった要素を見せつつも、ママのママによるママのための、という要素も新境地を見せていて、近年深夜のテレビにおいて存在感を示すサブカル的要素が不思議な魅力を演出しています。
アニメーション化の成功例
この作品は元々”井中だちま氏”の小説から始まっています。本人がテレビアニメへと成長することを想定していたかは分かりませんが、少なくとも近年のメディアミックス作品において最も成功した例として紹介することができるでしょう。
特に「お母さん」の声優さんのキャラ作りが絶妙であり画風ともマッチしています。それでいて小説版とは世界観の異なるテレビアニメだけの世界観も示しています。
小説とは、読むひとの想像力によりどれほどでも成長する「種」のような物だと思います。テレビアニメ化された今、逆に小説版への需要の逆流も始まろうとしています。とにかく2019年を代表する「メディアミックス作品」であることは間違いありません。
文章:Shinichiro.S