出典:©白井カイウ・出水ぽすか/集英社・約束のネバーランド製作委員会
白井カイウ氏が原作を描いたこの漫画の累計発行部数は2020年6月時点で2100万部を突破しており、まさに、ある世代にとっての代表作品です。
この作品は、現代のティーンエイジャーにとっては『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』にも通ずる何かがあり、しかし、バトルシーンは少なく、シリアスなストーリー構成になっていることが区別すべきポイントで、結果的に需要の分散につながっているのかと思います。
天国と地獄
主役級の3人の子供たち、エマ(少女)、ノーマン(少年)、レイ(少年)は、11歳ながらも天才的な知能を持っています。彼らは美しく成長しながら先輩たちがそうであったように、その孤児院を卒業し、外の世界へと繰り出す日を夢見ていました。そして、彼らを支えて学ぶことの喜びを教えてくれたのが、孤児院で「ママ」と呼ばれるイザベラです。いつも穏やかで笑顔を絶やさないイザベラには秘密がありました。
ある日、エマとノーマンは気づいてしまったのです。イザベラは、卒業生を新天地ではなく鬼のもとに貢いでいると!!孤児院の本当の姿は人を食する鬼たちのための飼育場だったのです。
新たな世界観
近年のアニメ作品(というより原作漫画)はなんと斬新で猟奇的な作風を発明するものかと感嘆します。この作品は社会が本来守らなくてはいけない存在「子供」を食用に育てる物語です。鬼は特に好んで人の脳を喰らいます。生きる目的を失った子供の脳を喰らうのです。
もっとスピリチュアルな視点での問題提起として、「人の成長とはどうあるべきなのか」というところまで考えさせられるとても内容の濃いストーリーです。
まとめ
イザベラがなぜ子供たちを優等生に育て上げようとしていたのか?理由はいくつもあるでしょう。鬼が好むのが脳みそだからというのも若干理屈に合いますが、自身も食用の孤児だったイザベラは、自分を犠牲にしても、いつか子供達が逃げることに成功し、この負の連鎖を止めて欲しい、という密かな願望があったのではないか、とも考えられます。
高い知性を持った少年たちの正に必死の逃亡劇が始まります。
文章:S.Shinichiro