出典:©2004 奥 浩哉/集英社 GANTZ Partners
2016年の映画/続編『GANTZ:O』の凄まじい彩度のフルCGは記憶に新しいと思います。その原点となるのが2000年に発表された漫画版『GANTZ』でありフジテレビ系でテレビアニメとなったのが2004年アニメ版『GANTZ』です。
原作は奥浩哉(おくひろや)さん。現在(2020年3月末時点で)52歳と遅咲きのアニメーターですが『AKIRA』の大友克洋さんなどに強い影響を受けた作家さんのようで、絵のタッチでいうと『東京喰種』の石田スイさんの描く絵にも似ている印象です。しかしながら、『GANTZ:O』で見せた、もしくは『実写版GANTZ』のリアリズムは、やはり圧倒的なものがあり続編も期待されている作品です。
謎の鉄球
物語は死後の世界の話になります。「GANTZ」という黒球の導くままに星人との戦争に駆り出され、何故だか非常にルールの厳しい戦いに挑む若者達の姿を描いた物語です。「ねぎ星人」や「あばれんぼう星人」などと敵対する勢力にはふざけた名前を命名されることが多いのですが、どんな戦いも命がけです。そして死後の世界から始まるこのストーリーでは、ゲーム機のように生き返ることがあります。
命をかけた戦いをミッションと呼ぶ不思議な世界で玄野と加藤はどう生き残るのでしょうか!?
謎が謎を呼ぶ物語
ガンツの正体
この作品は基本的に、世界平和とギャングの仮想敵のようなノリなのですが、そもそもガンツとはなんなのかが気になるところです。予備知識としては、ガンツとは実はその昔巨人族に襲われかけていた人間達がその対抗策に、ブラックホールに対する権限を持つ量産型兵器として製造されたものだったのです。
そこまでわかっていてやはり謎なのがRPGゲームのように『はじまりのワンルーム』にて復活が行われることや様々な複雑なルールが存在することなどが、物語に深みを与えています。
純粋なサバイバル・ストーリー
物語はほぼパニック状態のまま進んでいきます。私たちはそこから何を学べば良いのでしょう。考えるのも無駄なほどこの作品はくたびれているような気がします。鳥のように翼を広げて飛ぶボス田中星人などが現れる時点で、教養とはかけ離れたところで純粋なエンターテインメントが表現されているのではないでしょうか。
サバイバル・ストーリーには必ず何か教訓めいたような感動を覚えることが多いと思いますが、そんな全てを吹き飛ばすように、ストーリーは進みます。でも、テーマがないアニメほど視聴者層を幅広く掴めるというのも事実です。
子供達の夢を膨らませ大人達に一片の子供らしさを取り戻す要因になればこの作品も報われるのではないかと思います。
文章:Shinichiro.S