出典:© 荒川弘/スクウェアエニックス・毎日放送・アニプレックス・ボンズ・電通2003
『鋼の錬金術師』は、約一年間TBS系列の夕方枠で放送されたアニメです。主人公は国家錬金術師のエドワード・エルリック(エド)です。エドは錬金術師としての禁忌を犯して左足と右腕を失った少年です。
同じ時、身体の全てを失った弟のアルフォンス・エルリック(アル)と共に旅をしています。
あらすじ
アニメ版の『鋼の錬金術師』は漫画版の序章が大幅にカットされています。二人は自ら禁忌を犯したものの、人間としてのモラルの質は高く、錬金術による不法な犯罪に俊敏に対応します。二人の旅の目的は元の体を取り戻すことです。国家錬金術師の資格を持つのは兄のエドです。
しかし、弟のアルも兄と同じように手のひらだけで錬成できるまでに成長しました。錬金術の基本原理は等価交換です。厳しい現実に苦悩する2人の姿が印象的な作品です。
感想
『鋼の錬金術師』の人気ポイントはやはり従来のイメージを覆す魔法の定義と、そのストーリー性でしょう。「等価交換」という、ストーリーを通したキーワードが示すように、人間が魔法を使えるようになっても世界が滅びないように厳密な法則があるのだということを痛烈に描いています。
しかし、現実社会の医療の限界などを考えると、この作品の世界観は極めて正当な役割を表しているように見えます。劇中にはホムンクルスという「等価交換」の犠牲になり、人間性が乖離した生き物も出てきます。
何故、今生きている人のための健康と平和を最優先にできないのか、本来の力をどう利用すべきなのかと社会性を問われる作品です。
主人公の二人の最終的な「正義」という答えを読み解くのが楽しい物語です。
文章:Shinichiro.S