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『グレイプニル』第10話「美しい花」【感想】

出典:©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

『グレイプニル』はいつかの記憶を無くした高校生2人、修一とクレアの物語です。物語を引き締める言葉として「この物語の主人公は僕たちじゃない」という言葉があります。

この言葉は筆者の感想だと、圧倒的な潜在能力を持った修一の抑圧された精神が、その言葉を選ばせているだけで、物語のクライマックスでは間違いなく修一は、この星の代表者に成っていると信じています。

夾竹桃を利用して

今、この街には、化け物が少なからず居る。遡ること幾年か、ある山にかつて、宇宙船が墜落しました。主人公の修一は、クレアと共にそんな化け物たちと戦い、このいかれた状況を言語化しようと謎を解き始めるのです。

廃墟のラブホテルに住む宇宙人。宇宙人が探している何百枚ものコイン。記憶を改竄された修一の過去。そして今話では、円という化け物の圧倒的な実力の差に屈し、生贄を用意しろと脅迫される修一たち一向。

クレアのアイデアで、火をつけると猛毒を放つ夾竹桃という花を利用して状況を打破することに成功します。

原作者の意図とは?

夾竹桃の毒で走馬灯を見る円の過去が切なすぎます。

どうしても、視聴者側としては謎解きに集中してしまうのですが、本来この作品を通して原作者の武田すん氏が伝えたいのは、このような繊細な描写、生き残ることの理由なのかもしれないと思いました。

主人公の修一が、正義か悪かという判断にも答えが用意されていません。

何しろ宇宙人の力を借りて化け物になってしまっているのです。安心できる結末はやはり全ての化け物になった人間(地球人)が、元の姿に戻ることなのだろうなと思います。

まとめ

設定上、人間という全くもって純粋に自然に生まれた知的生物とは真逆の存在として、主人公たちの『生きる形』が初期の段階から遠ざけられていることが物語を複雑にしています。

昨今のアニメの流行りかもしれませんが、この『存在の対比』が物語を伏線まみれのカオスに仕上げているのは確かです。

原作9巻が発売された2020年、やっと展開の大筋が見えてきたところです。2021年、もしくは2022年にはテレビアニメの第二シーズンが期待できるのではないでしょうか。

ゆっくりじっくり、何度も第一シーズンのアニメを見返しながら、腑に落ちるストーリーを想像して新しい物語を待ちたいと思います。

 

文章:S.Shinichiro

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