出典:©創通・サンライズ
声優さんが、いつものイメージと違う役を演じることがあります。
例えば、『メタルギアシリーズ』のスネーク役等で有名な大塚明夫氏が有能なのに、とぼけた風で飄々として頼りない感じで演じた『銀河英雄伝説』の自由惑星同盟軍人チュン・ウー・チェン大将です。
他にも、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役の緒方恵美氏が『マジックナイトレイアース』で可憐で儚げなエメロード姫です。
一番凄いと感じたのは、ガンダムのシャアの声を当てている池田秀一氏が関西弁で演技している作品です。
その作品は『宇宙の戦士』といって出てきたメカのパワードスーツが、ガンダムに影響を与えた古典的軍事SF小説のアニメ化作品です。
アニメ作品的には一般的な評価はあまり良くないのですが、発表当時で出来ることをちゃんとやっていて特に声優さんは主役級の人が多く起用されている所が魅力です。
常識はずれの配役と演技の凄さ
その主役陣の声優の中の一人、池田秀一氏がお笑い好きの関西弁を喋る『チャック・アズマ』を演じています。
アズマは、衣食住完備だから軍に入ったと公言したり、自分が使うパワードスーツにお守りのお札を貼って、気休めと言ったりします。
死ぬ時も笑って死にたいとイヤホンで落語を聴いているようなお調子者のムードメーカーで、抜け目の無い上にやる時はやるキャラクターですが、丸刈りで丁稚のような見た目です。
池田秀一氏が、いつも演じている役とはまるっきり逆な上に、関西出身では無いのにとても流暢に関西弁を操り、演技には違和感は無いのですが、かっこいい二枚目の声でお調子者の関西弁キャラの落差は凄いです。
上手で何の問題も無いのに形容しがたい違和感を覚えます。
二つの楽しみと普通は気づかないこと
アズマが聞いている落語も池田秀一氏が演じています。関西弁キャラなのに聞いている落語は江戸落語の『火炎太鼓』で、アズマが本当にお笑い好きのキャラクターと演出表現されていますが。
このアニメを見る人の大多数はこの演出に気づくことは少ないです。ネットで調べた限り言及している人は、1人もいませんでした。
落語の登場人物も頼りないので、池田秀一氏の標準語でのん気なお人好しキャラの演技も観られます。池田秀一氏の普段しない演技を2種類も観られるので、これだけでアニメ『宇宙の戦士』は見る価値があります。
上手い人は何を演じていても上手いのですが、観ている人間の常識外の演技や、キャラなので新鮮で違和感が有り面白い感じがします。
アニメ『宇宙の戦士』は池田秀一氏の意外な配役だけでなく、その他有名声優の演技やパワードスーツを始めとするメカやアクションもカッコいいです。
今のところネット配信が無いので、レンタルショップで借りるしか無いですが、もし機会があったら、池田秀一氏の演技とパワードスーツがカッコ良く活躍する本作をぜひ観る事をお勧めすします。
文章:北山南河