出典:©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
このアニメは2016年秋、1クール(全13話)が前作「響け!ユーフォニアム」の2期目としてTV放映されました。
原作は宝島社文庫の武田綾乃(たけだあやの)の小説「響け! ユーフォニアム 」シリーズが元です。
アニメーション制作は前作に引き続き京都アニメーションが手掛けています。
忘れる事が出来ない「ダッタン人の踊り」
このアニメの主人公は前作「響け!ユーフォニアム」に引き続き、北宇治高校1年生の黄前久美子(おうまえくみこ)です。
北宇治高校吹奏楽部は吹奏楽コンクール京都府大会で金賞を取り無事、関西大会へと駒を進めます。
関西大会に向けて一層、練習に力が入る久美子達でしたがそこへ新たな問題が発生します。
2年生の傘木希美(かさきのぞみ)が吹奏楽部に戻ることを希望してきたのです。
希美は1年生の時、当時の真面目に部活動をしない上級生に反発して吹奏楽部を退部しました。
3年生の田中あすか(たなかあすか)副部長に自分の復部を了解されてから部に戻りたいとあすかにいいますがあすかは希美の復部を認めません。
それは吹奏楽部でただ一人のオーボエ奏者の鎧塚みぞれ(よろいづかみぞれ)の事を考えての判断でした。
そんな中で希美と同じ南中であった中川夏紀(なかがわなつき)と吉川優子(よしかわゆうこ)がそれぞれの立場からこの件に関わっていくのです。
それぞれがかかえる不協和音
このアニメは高校の吹奏楽部を舞台にした青春群像劇と言える作品です。
このアニメの登場人物は三者三様の事情を抱えています。
前作では高坂麗奈(こうさかれいな)と中世古香織(なかせこかおり)がトランペットのソロパートを担当するのはどちらが相応しいかオーディションで争った時、久美子と麗奈は香織に肩入れした吉川優子と気まずい仲になりますが、優子は鎧塚みぞれを気遣う意外な一面を見せます。
久美子も姉の麻美子(まみこ)が大学を辞めて美容師になりたいと両親に話したことから家庭内がゴタゴタします。
田中あすかにも退部騒動が起こります。
母親が学校にやって来て吹奏楽部を辞めて受験に専念させたいと吹奏楽部顧問の滝にねじ込みます。
何事においてもそつなく物事をこなすあすかは特別だと思っていましたが、そうではなく普通の人間なのだと今更ながら気づくのです。
それぞれの登場人物の背景が絡むことによってこのアニメは重層的な陰影が生じると感じました。
文章:針尾