少年サンデーコミックスの漫画として、初登場したのが1988年の事でした。最終話が1997年です。これは全くもって、森田まさのり氏が週刊少年ジャンプで連載していた『ろくでなしBLUES』と同じ期間に描かれたものです。
2つのヤンキー漫画が話題になる中、『ろくでなしBLUES』は映画で、『今日から俺は!!』はOVAでアニメ化されました。
一匹狼が二人
舞台は千葉の私立軟葉高校(なんようこうこう)。主人公は高校デビューのヤンキー・三橋と伊藤の二人です。伝説のヤンキーになる為に、暴走族や半グレ集団とつるんだりするわけではなく、二人して一匹狼を通す様が当時の読者を(読者層を選ばず)しびれさせました。
宿敵今井との掛け合いなど楽しい要素が満載で飽きのこない作品です。残念ながらテレビアニメ化はされずOVAでのアニメーション化となりました。2019年にはテレビドラマ(実写化)で放送され話題に上りました。
普通にしていても人気者なのに‥
主人公の二人にはそれぞれ彼女的な存在がおり、合気道の赤坂道場の娘・赤坂理子は三橋に憧れて別の学校から編入してきました。
主人公は二人とも身長が180センチ以上あり、ルックスも悪くなく、身の丈に合う女子にも恵まれているのに、何故かやさぐれてしまうところが、この作品の美学なのかもしれません。
何故やさぐれるのか?
何故やさぐれる?突っ張ることが男のポリシーなのかもしれません。と、結局万人に納得のいく落とし所はないのですが兎に角、何に労力をかけていいのかわからなかったり、無駄にはっちゃけ過ぎたりする不安定でもステイタスを求める中高生の間では、当時この作品は話題を呼ぶいいネタでした。
多彩なキャラクター
主人公の三橋は多少ビビリな性格の持ち主ですが、結局は格上の相手でも決着をつけないと気が済まない性格で、歪んで入るけれど情に熱い性格の持ち主です。
同じ日に転校し、同じ日にヤンキーになった伊藤との掛け合いは時にユーモアを、時に男としてのプライドを共有しているように映ります。三橋の勝利の定義は「相手に自分より不愉快な思いをさせること」単純に負けず嫌いなのでしょう。
この作品は非常に際どいスタンスをとっており、見る人を選ぶ作品だなという印象を持ちます。
感情論ではなく主観性で見るアニメ
感性の鋭い人ほど作品の脈略から悪い心を取り込んでしまうリスクがあるかも知れませんが、筆者のように「ボーと生きている」人間にとっては、いい目覚ましになるようです。
『ろくでなしBLUES』と比較しても主観性に長けた作品だという印象があります。三橋は基本的に、自分のエゴさえ通ればなんでもいいのです。相手の感情や仲間の思いなどとは無縁です。しかし、ちょっとしたプライドから結果的に熱い感情をむき出しにすることもあります。それは、三橋自身にとっても予想外のことであり、副産物のようなものだと捉えるべきなのでしょう。
暴力じゃない!!青春なんだ!
三橋も伊藤も根は純朴なのです。暴力や独特な価値観の中に素直さが混じり、春の風が吹き荒れるような良作なのです。
90年代の感覚を知る上で為になる物語だといえるでしょう。
文章:Shinichiro.S