出典:©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
◆その子には、うかつに近づけない。いつもヤツがいるから!
フィギュアスケートクラブ「ルクス東山FSC」のコーチ見習いになった明浦路 司(あけうらじ つかさ)は、ある日スケートリンクにこっそりと侵入する少女を見つける。
少女の名は、結束 いのり(ゆいつか いのり)。鳥のエサを届ける名目で、リンクへの出入りを許可されていたのだ。
独学でスケートをしてきたという、いのりちゃんの滑りに素質を感じた司は、専属コーチに立候補する。
司コーチにみるFSC(フィギュアスケートコーチ)にあるべき素養とは?
説得上手
長女はフィギュアスケートを学ばせていたが、次女のいのりには才能はないと、いのりママは言う。
いのりちゃんのスケーティングに惚れ込んだ司コーチは、そんないのりママを熱い眼で説得する。
「娘さんをください!」みたいに必死に訴えることが、君にはできるか?
モノマネ上手
力量を示すため、模範演技として、本人のスケーティングを真似してみせる。
知らない部分でさえも「こういう感じだろう。たぶん」と正解を導き出し、形態模写してしまう。
そう、芸人としても食っていけるレベルでないとコーチは務まらない。
褒め上手
他人の演技を思い出して、教わってない技をアドリブでやって見せたいのりちゃんを
「教えてない!天才だ!」と持ち上げる。
とにかく褒めちぎって気持ちを高揚させる。
そして言わせるのだ。
「メダリストになりたい」と。
スルー上手

出典:©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
相手を認めると同時に、相手の好きなものも認める。
だが、いのりちゃんが好きなものはミミズ。いのりちゃんがいつも手にしている袋の中身はミミズ。鳥のエサにするため、公園の土中から採集してきた大量の生きたミミズ。
ミミズが苦手な司コーチは、いのりちゃんとは常に、ほどほどの距離を保つ。決して女の子だから、気を遣っているからではない。いつもミミズを触っているから、今も隠し持っているかもしれないから。
司アンテナが知らせている。
「いる!すぐ近くにいる!あれが!女の子が!」
振りむけばそこに、才能を持った天使が!ミミズを持っている悪魔かも知れない!
いのりちゃんのミミズを触る手と恐る恐るグータッチ。出来るのはギリギリここまで。
いずれにせよ、付かず離れず、いろいろ感知する能力があってこそ務まるFSC。
ところで、実際にミミズをリンクに持ち込んだ実在モデルはいるのだろうか?
文章:ヒトツメロバ