出典:(C)高橋留美子/小学館
原作者の高橋留美子さんの著書には『うる星やつら』『めぞん一刻』『犬夜叉』など多くのヒット作がありその殆どがテレビアニメ化されて、お茶の間を笑顔に変えてきました。
2019年時点でもインターネットを通して再放送が繰り返されており、根強いファン層がこの作品の存在感を示しています。
無茶な設定でも魅入られるストーリー
主人公は早乙女乱馬(さおとめ らんま)という男の子ですが、中国での修行中に娘溺泉(ニャン・ニーチュアン、若い娘が溺れた泉)という泉に落ちたことで、水をかぶると女の子になり、お湯をかぶると元の男の子の姿に戻るという異常体質を持つようになります。同時に父の玄馬(げんま)はパンダが溺れた泉に落ちており、水をかぶるとパンダの姿になるという設定になっています。
らんまの家族は格闘技の家系なので作中いろいろな敵やライバルとの戦闘シーンが見られます。ですが一応コメディーなので戦うばかりではありません。らんまと父はらんまの許嫁のいる天道早雲が住んでいる家に居候することになり、騒がしい日々を重ねます。
高橋留美子さんの感性が紡ぐ完全なオリジナルストーリー
この高橋留美子さんという作家は、作品ごとに本当にいろいろな表現を見せてくれるので感嘆します。中でもギャグセンスで勝負した『うる星やつら』とユーモアセンスで勝負した『らんま1/2』は、極めて庶民的娯楽であり、万人受けする物語だと思います。
リスキーな体になってしまった!
『らんま1/2』では女の子の姿になった時に、らんまのライバルだった男の子に惚れられて、付き纏われたり、「いや、俺中身は男なんだよ」という心の声が聞こえてきそうな場面が多くて楽しいです。
メディアミックス
2011年12月に新垣結衣さん主演で実写化もされています。この番組では天道あかねが主人公になっていますが他の主要な作品では早乙女乱馬が主人公になっています。ファミコンの格闘ゲームとしても人気があり、ストリートファイターと人気を二分していた記憶があります。
コミュニティー(集団意識)の捉え方が独特
高橋留美子さんが原作を担当した他の作品に比べるとコミュニティー感がより一層強くなっている印象があります。同氏の作品には限られたコミュニティーで事件が巻き起こったり、愛が育まれることが多いですが、本作についてはコミュニティー内部での騒動が多く見られます。
例えば、乱馬たちが居候している家に隣接されている道場での事件や一家総出の大騒動といった家族間でのいざこざが多く描かれていることがテレビの前の視聴者を釘付けにした理由だと思います。また、それぞれのキャラクターが必殺技のようなものを持っていることも他の高橋留美子作品にはあまり見られない一つの特徴です。のちに犬夜叉を描いていますが『らんま1/2』がその流れの原点にあるのではないかと思います。
筆者はこの作品はラブコメだと思う
女の子として天道家に迎えられたらんまでしたが風呂上りに裸の男の姿をあかねに見られたため、事情を説明し、何故か許嫁はあかねに内定してしまいます。
時にアクション、時にラブコメと、1989年から1992年まで3年半続き、テレビアニメとしては最高評価の作品になりました。2019年末の今改めて見直しても、表現力が豊かで、面白い作品だと思います。
文章:Shinichiro.S