出典:©京都アニメーション/うさぎ山商店街
この作品は『けいおん!』の山田尚子監督による完全なオリジナルアニメーションです。一説には京都の出町桝形商店街が舞台となっているらしく、新しい形の文化の創生や継承に一役買っていると言えるでしょう。改めて京都という町の魅力に取り憑かれた気持ちです。
最近では劇場版アニメ『HELLO WORLD』が京都の文化を美しく再現したのが記憶に深々とありますが、古都とアニメのコラボレーションというのは如何にも美しいです。そしてその時代のハシリが『たまこまーけっと』なのです。
京アニらしいマイペースなほのぼのストーリー
デラ・モチマッヅィという謎の鶏型のキャラクターを中心に物語は展開していきます。デラは自分の故郷の王妃候補を探して京都に辿り着いた使者なのです。しかし、その町で主人公の北白川たまこ(高校一年生)に求愛されたと思い込み、ぬいぐるみのような感覚でたまこの家に居候することになります。
両者の意識は最初しばらくは乖離していますが、なぜだか最終的には収まるべきところに落ち着きます。王子・メチャ・モチマッヅィがたまこの前に現れた時にもたまこが妃になるのは間違いだと必死にたまこを助けてくれます。いつしか二人にはのび太とドラえもんのような深い絆が生まれていたのです。
凸凹コンビの徒然なる日々
前述で鶏と書きましたが、本作品中ではオウムやインコの類だということがわかっています。そして鶏扱いされると激怒するという習性を持っています。どう見ても鶏だけど‥。
一方のたまこにも二面性があり、怒りを抱くポイントが独特であり二人は同レベルの天然だと思えるシーンが多いです。二人の掛け合いは新鮮で、アニメのファンからは映画化が熱望されている状況ですが、やはりこの作品は京都アニメーションが入念な取材と経験を基に作り上げた作品です。
どこか既視感のあるキャラクター達
主人公のたまこは、『けいおん!』に出てくる中野 梓(なかのあずさ)に近い容姿をしており京アニファンなら「おっ!」と思う見覚えのある可愛いキャラクターです。
デラについて、筆者の印象は「Final fanntasy14」に出てくるカモエッガーに近いキャラクター性を持っているのかなと思います。
もし人間が科学の進化と共に自由な創造を果たせるようになれば、そして人の意識を(人工的に進化した動物に)転生させることができれば、この手の「愛玩動物のようで、実は野性味あふれる自分の世界観をしっかり持った動物」に生まれ変わる元人間は多いだろうなと思いました。
文章:Shinichiro.S