出典:© TATSUNOKO PRODUCTION
『赤い光弾ジリオン』とは1980年代当時、サバイバルゲーム用光線銃ブームの中で販売されていたセガ・エンタープライゼスの光線銃『超高速光線銃ジリオン』の販促ために作られたSFアクションアニメです。
『タツノコプロ』の『竜の子制作分室』制作のアニメで、竜の子制作分室のプロデューサーだった『石川光久』が、同作のキャラクターデザインを行った『後藤隆幸』と組んで『I.Gタツノコ』設立しました。
その後、商号変更をして『プロダクションI.G』になり、現在でも、ハイクオリティの作品を制作するアニメ会社の設立のきっかけになったのが『赤い光弾ジリオン』です。
あらすじ
西暦2387年、宇宙開拓時代に入った人類は第2の地球と呼ばれている惑星『マリス』にも多くの植民者が暮らしていました。
そこに、侵略者『ノーザ星人』が人類を排除し、領土とするため攻撃を仕掛けてきます。
強力な武器と装甲のノーザ星人の前に、苦境に立たされる人類に謎の存在(マリス先住種族超文明)から3丁の銃がもたらされ神秘の銃ジリオンと名付けられる。
選ばれた3人の若者がジリオンを手にノーザ軍に立ち向かいます。
物語の見どころと特徴
ジリオンを運用するマリス軍特殊戦闘チーム『ホワイト・ナッツ』の3人が、ノーザ軍の指揮官バロン・リックスやスナイパーや特殊部隊、そしてサイボーグ等の強力な敵と戦いを繰り広げるアクションと主人公たちの青春群像劇の2つの側面を持つアニメです。
主人公の主要武器が銃なので、本作ではガンアクションが多く、ジリオンの発射音と命中・破壊エフェクトが特徴的でかっこいい。
もちろん格闘戦もこなせるが、銃が主役と言って良い本作は、この点が他のアクションアニメと違い視聴者に深い印象をあたえます。
アニメ放送前から予定されていた光線銃のモデルチェンジにより、アニメのジリオンもモデルチェンジし、パワーアップして更に主人公1人々にあわせてカスタマイズされる。
ハチやアリの様な生まれついての役割のあるノーザ星人が、なぜ領土を求めて侵略してきたのか理由があり、単純な善悪物ではなく主人公達と敵の両方全てに救いがある。
ジリオンだけでなく、その他のメカニックも魅力的でホワイト・ナッツ専用大型輸送機『ビッグポーター』と合体する飛行機『エアロキャリッド』・装輪装甲車『ランドキャリッド』・潜水艇『アクアキャリッド』が移動手段として使われる。
特に潜水艇アクアキャリッドでの戦闘は、潜水艦物の定番シュチュエーションが豊富に盛り込まれていて楽しく素晴らしい。
戦闘サイドカー『ライディングセプター』は疾走感がよく表現されています。
戦闘バギー『トライチャージャー』は変形して、戦闘強化服『アーモーレーター』なり短時間の飛行やバギー時の車輪を使ってのダッシュを使い、敵2足歩行兵器『ノーザ・レイカー』等を粉砕する器用さと力強さが特徴的。
オープニングアニメーションは『風の谷のナウシカ』や『超時空要塞マクロス・愛・おぼえていますか』の原画をつとめ『AKIRA』の作画監督を務めた『なかむらたかし』が手掛け、惑星マリスの幻想的な景色が美しく流れる。
製作に京都アニメーションが協力しているのが、クオリティの高さに現れている。
他に京都アニメーションに技術指導をしていたアニメアールとそこから派生したスタジオ・ムーも製作にかかわっていて、有名な所では沖浦啓之や黄瀬和哉がいます。
主要登場人物
マリス軍
・ホワイト・ナッツJJ (声‐関俊彦)
自称「愛と真実とムチムチギャルの使徒」。
理論より感覚で動く後先考えない熱血漢でズボラ、ケアレスミスで危機におちいる事も多い。
ホワイト・ナッツ選考過程で何者かの介入で選ばれるが詳細不明。ホワイト・ナッツのボケ担当。
・チャンプ (声‐井上和彦)
冷静な理論派スナイパー。
戦闘では全体を見て指揮をするリーダーだがJJが指揮にしたがわない事が多く衝突することもしばしばある。
レース編みが趣味だがみんなには隠している。ホワイト・ナッツのツッコミ担当。
・アップル (声‐水谷優子)
JJとチャンプのボケツッコミの収拾がつかなくなった時にいさめるホワイト・ナッツの常識人。
元情報部の有能で活発な大和撫子で周りからの信認も厚い、JJとチャンプもアップルには頭が上がらない。
優しい性格だが、2人のせいで怒る事の多い日々を送っている。
・Mr.ゴード (声‐藤本譲)
ホワイト・ナッツの長官。
マリス軍最高司令官と士官学校の同期で主席を争ったがエリートコースより自由のある道を選ぶ。
部下の安全を常日頃考えており部下からも信頼されている。昔はパイロットをしていた。
・デイブ (声‐中村大樹)
ホワイト・ナッツのメカニックで、ビッグポーターの操縦から各種新装備開発そしてジリオンの改良までこなす。
その上、ジリオンのエネルギー源『ジリオニウム』の管理責任者を務める。
エイミ・ハリソン (声‐本多知恵子)
Mr.ゴードの秘書兼ホワイト・ナッツのオペレーター。
泥のように濃く不味いコーヒーを淹れるが、本人は気づいていない。
ノーザ軍
・バロン・リックス (声‐速水奨)
マリス星征服作戦指揮官。鞭のように変化する剣を携えている。
ホワイト・ナッツのJJに敗れ失脚し、復讐のためにマリス星をさすらう。
・アドミス (声‐沢田敏子)
ノーザ軍P38宙域の総指揮官『ビッグ・マザーアドニス』。
連星に近いマリス星の月『リル』の総司令部から全軍を指揮します。
まとめ
プロダクションI.Gの設立のきっかけとも言える『赤い光弾ジリオン』は放送当時から評価が高く『日本アニメ大賞』で賞を受賞し、オタクで有名な『マイケル・ジャクソン』のPV『Scream』にもJJの映像が出てきます。
後藤隆幸や沖浦啓之や黄瀬和哉ら現役一流アニメーターの昔の作品を見ておくのも温故知新でいいのではないでしょうか。
赤い光弾ジリオンの放送で、アニメ業界でもサバイバルゲーム用光線銃ブームに拍車がかかりました。
今でもニコニコ動画やdアニメストアで視聴する事が出来ます。
今見ても、とても面白いです。
文章:北山南河