出典:(C)磯 光雄/徳間書店・電脳コイル製作委員会
この作品の特徴は、先に磯光雄氏のテレビアニメ用の原作があり、そこから派生して、宮村優子氏の小説が発表されたものです。2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞をはじめ数々の栄光を手にした話題作です。
イリーガルの確信に迫る!
舞台となる時代背景は202X年、「電脳」と呼ばれる技術が一般に普及している近未来です。誰もが「電脳メガネ」をかけて生活し、あらゆる情報をウェアラブルデバイス(電脳メガネ)で取得する世界での出来事です。主人公である(ヤサコ)は、金沢市から大黒市に引っ越してきました。電脳生物・イリーガルと遭遇したヤサコは、この一件をきっかけに電脳探偵局に入会することになります。ヤサコは電脳ペットのデンスケの誘拐事件などを解決するうちにイリーガルの核心へと迫ろうとしていました。
デジタル時代の仮想敵を占う物語
NHKの教育番組で放送された作品にしては時代設定の 202X年というのは少々安易な印象も受けますが、主な視聴者層である子供達にとっては、比喩的情報として「デジタル社会の進歩に伴うリスクとどう向き合うか」というテーマがあるのかもしれません。
未来の希望へのプロローグ
大学の理工学部でも卒業しない限り、私たち一般人にとっては、仕組みは解らないけど便利な道具というのがこれからも出てくると思います。そんな生活環境において、見失ってはいけない「技術」のリスクと「未知の能力」は必ず支えになってくれる、ということを子供達が感じてくれればこの作品は本懐を遂げることになるのだろうなと思いました。
また、これからますます競争力の激しくなるであろう「科学者」や「技師」のような必要な人材が大人になった時に「子供の頃に『電脳コイル』という番組を見て影響されました」と好循環が起きることを期待しています。シンプルだけど抜け目のないストーリーに注目です。
文章:Shinichiro.S