出典:©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会
このアニメは2017年秋、全12話TV放映されました。
アニメの原作は幻冬舎コミックで刊行されている天乃咲哉が原作の漫画「此花亭奇譚」、「このはな綺譚」が元になっています。
アニメーション製作はLercheが務めました。
此花亭でのひととき。
このアニメの主人公は狐の耳と尻尾を持った少女の柚(ゆず)です。
柚は小さい頃、冬に八百比丘尼(やおびくに)に雪の中から拾われた野狐でした。
比丘尼は柚を育てますが彼女の行く末を考え、柚は社会勉強のために此花亭(このはなてい)へと奉公に出されるのでした。
此花亭はこの世とあの世の境にある温泉旅館で人間の他にも人間以外の姿をした客が湯治に訪れていました。
此花亭で新人仲居として働く事になった柚ですが、狐の顔を持った女将の他に5人の狐の耳と尻尾を持った先輩仲居がいました。
柚の教育係となった皐(さつき)、棗(なつめ)、連(れん)、仲居頭の桐(きり)、柚よりも幼い容姿をしている櫻(さくら)です。
此花亭では一所懸命、仲居の仕事をする柚でしたが此花亭を訪れる客たちも個性的なのでした。
柚は先輩仲居やお客との間に囲まれ、時に不思議な出来事に遭遇する事になりながらも、人と人との思いに触れながら少しずつ成長していくのでした。
此花亭だから出来る接客。
このアニメの主人公の柚はドジの一面があるが、優しくて明るい素直な性格です。
仕事に対して皐から厳しく注意を受けながらも、そのことに関してして全く文句を言おうとは思わず一所懸命、仲居の仕事をする姿はとても感心します。
いつも真っ直ぐな瞳で物事を考えているため、人の悪意とは無縁です。
フィクションだから存在が許される典型的な良い子と言えます。
現実にいたらそれこそ、かもがネギを背負っている存在で危なげない娘だと思います。
そしてこのアニメは日本だからこそ出来る設定だと感じます。
此花亭は人間が訪れる他に明らかに人間ではない容姿をした客や、時には神様自身が湯治に訪れたりする不思議な旅館です。
多神教の日本だから作ることを許される世界観だと言えるのではないかと思います。
時に優しく包み込む此花亭は一回訪れたいと思わせるそんな旅館です。
ところが彼岸に近い此花亭では訪れたときは多分死に際に見せられる刹那の瞬間かもしれませんね。
文章:針尾