アニメコラム

繊細すぎる青春の息吹が心をさらう『荒ぶる季節の乙女どもよ。』女子高生の性の意識を問う物語(2019年)

出典:© 岡田麿里・絵本奈央・講談社/荒乙製作委員会

文芸に青春を費やす少女達のあられもない姿に注目!!

主人公は、小野寺和紗(おのでらかずさ)という少女と、もう一人重要な人物として菅原新菜(すがわらにいな)という少女がいます。二人は高校の文芸部の同級生です。

この物語は、原作:岡田麿里、漫画:絵本奈央でお贈りするテレビアニメーションです。『女子高生の無駄づかい』や『ダンベル何キロ持てる?』など2019年には女子高生のためのアニメが多数放送されました。

幼馴染みとの因縁

物語はとある高校の文芸部に新入生が入部するところから始まります。この物語でショッキングな役回りを演じるのが典元泉(のりもといずみ)という小野寺さんの幼馴染みの男子高校生です。幼馴染みなので家族同然の付き合いをしている二人ですが、中学生時代は容姿端麗、気のつく男の泉(いずみ)が、モテすぎていて、時に彼の幼馴染みの小野寺さんが嫉妬されトバッチリを食うことも多かったのです。

そんな泉が部屋で一人Hをしているところを目撃してしまった小野寺さんの運命は劇的に変化していきます。青春の渦が二人を、そして文芸部をどう変えていくのか!?とてもシンプルで胸が暖かくなるストーリーです。

新しい娯楽の誕生

一時期の日本は、女子高生の需要を一つの市場として見ていた傾向があり、高校生のための遊び場(エンターテイメント)はどんどん現実乖離していきました。それらの需要は大人になっても更に加速し、ある世代の居場所というものを考えたときに「難民」と呼ばれるほど肩身の狭い思いをした現実もあると思います。しかし、昨今のサブカルチャーに於いて健康的で、しかも、感傷的な気持ちを抱ける居場所、方向性を見つけることが容易になったのは素晴らしいことだと思います。そんな事情を代表している作品が今作であると思います。

恋愛要素満載

泉の一人H騒動もそうですが、国語教師の山岸が教子のひと葉とエロチャットで繋がってしまうなど、大胆な設定が多いラブコメディー的な作品です。ひと葉は、文芸部員の中でもクリエーター思考の強い女の子で、自分で小説を書きたい、その為に大人の社会の実情を経験したい、という欲求に駆られてエロチャットに手を出してしまった少し突っ走るタイプの高校生です。

文芸部には百々子(ももこ)という女の子も所属しており、高校生になるまで恋をしたことがない、つまりは高校で初恋に出逢ってしまった女子高生もいます。文芸部は、理想的には純粋に、けれど、小説との付き合いの中では避けて通れない悩ましい愛情表現に頭から湯気が出てきそうなリベートを繰り返すのが通例です。小説好きでアニメも観る人たちにとっては、正にツボにはまるアニメだと思います。

まとめ

女子高生の(サブ)カルチャーにとって必要な要素が詰まった作品だと思います。純粋さが女子の間だけで大人の領域に迷い込み、予期せぬところで男子との直接的な遭遇、胸の高鳴りを経験する彼女達の姿はとても美しいものに見えてきます。

アニメーションのデザインが少女向けということもあり、これから女性になろうとする女の子達に見てほしいアニメです。改めて、子供の発育に積極的に貢献する時代がきたのだなと思いました。

 

文章:Shinichiro.S

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