出典:©GIRLS und PANZER Projekt
『ガールズ&パンツァー 劇場版』において主人公『西住まほ』達に立ちはだかる強敵、『島田愛里寿』のモデルは島田豊作中佐です。
島田中佐はどんな人物?
島田中佐(昭和16年・1941年当時は、少佐)は、マレー作戦で戦車部隊による夜襲による敵陣地突破を実行。
その電撃戦により『トラロク』、『スリムリバー』、『スリム』の陣地を1日で突破後、イギリス軍司令部攻撃により敵第12師団長と幕僚等戦死。
イギリス領インド陸軍1個師団を包囲殲滅、鉄橋の確保を『九七式中戦車チハ』12両、『九五式軽戦車ハ号』3両、歩兵80人、工兵20人で成功させた戦車部隊長です。
部下思いで「カリスマ性」の持ち主
戦車の通れる侵攻ルートが一つしかなく、敵が縦深防御を取っているので、昼の平地でも視界が狭い戦車を、夜の熱帯林で夜襲という奇策ともいえる戦術を歩兵との連携で行い、成功させた優秀な指揮官です。
戦車から降りての偵察中に、敵の狙撃兵から木の上から撃たれても、瞬時に身を隠し撃ち返して敵を倒すといった、戦闘中でも落ち着いている冷静沈着な性格の持ち主です。
それまで訓練してきた平野での戦闘から、急に機動が制限される熱帯地方向けの訓練をこなしました。
研究済みとはいえ、作戦開始数時間前に初めての戦術を戦車兵、歩兵、工兵に説明して理解させ、人心掌握と士気を上げて、一糸乱れぬ作戦行動を成功させたところから、高い指揮能力と部下に信頼されるカリスマ性の持ち主です。
島田中佐は部下思いで、戦闘中でも部下の事を気にかけ気配りを絶やすことが有りません、また部下の能力を把握し実力を信じています。
戦後は教職の道へ
昭和18年(1943年)陸軍士官学校機甲兵教官時代に天皇陛下に謁見をしています。
これは島田中佐の部下の野口大尉が、マレー作戦の活躍によって先に天皇陛下に謁見しているので、島田中佐のマレー作戦の成功が評価されての謁見でしょう。
戦後は教員免許を取って、母校の群馬県立館林高等学校(旧制群馬県立館林中学校)で社会科教師を定年まで勤めました。
『司馬遼太郎全集第68巻』に島田中佐のマレー作戦時の活躍が書かれています。
司馬遼太郎も戦車部隊の士官で、ガールズ&パンツァーの知波単学園の福田のモデルになっています。
まとめ
島田愛里寿が、巨大な学園艦でも船酔いになる弱点がありますが、それもモデルの島田中佐が、海の無い群馬県出身という所からなのかもしれません。もっとも、島田中佐は船酔いをしませんでしたが…。
島田愛里寿が乗っていたクマ型の乗り物『ヴォイテク』にもモデルがあります。
『ポーランド第2軍団第22弾薬補給中隊』所属の『シリアヒグマ』のヴォイテク伍長でマスコットと弾薬運搬をしていました。
冷静沈着で勇猛果敢、カリスマ性があり部下への目配りを絶やさず、いざとなったら陣頭指揮をする所が、島田愛里寿の指揮官としてのキャラクター付けに活かされています。
島田中佐は先祖が武家なので、島田愛里寿の凛とした立ち振る舞いもそこからでしょう。
また戦史上、稀な戦車による夜襲の実行と成功の所がアニメで『神出鬼没のニンジャ戦法』称されているのでしょう。
文章:北山南河