出典:©2020伊井圭・東京創元社/「啄木鳥探偵處」製作委員会
金田一京助の元に、毎日のように金の無心に彼はやってくる。
それは酒に女にと自堕落生活をする、同じアパートで暮らす石川啄木である。
道すがらであろうと何気に人を魅了する詩を詠んでしまう・・・啄木の詩人としての才能を高く買う金田一は、私財を投げ売ってまで彼の生活を支える。
そんなある時、啄木は一念発起して探偵事務所「啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)」を立ち上げるのだ、が・・・
借りた金でおごる
「恥ずかしながら、当面の生活費に困っていまして・・・」
と、お金を借りたそばから豪遊!
仲間の文士たちを集め、お酒や料理を振る舞うのだ。
そして翌日。
「昨日のアレで生活費が底を尽きまして・・・」
と参加者たちから、さらにお金を集める?
死ぬから
咳をしたら血が出た!ショックを受けた様子で、
「わたしはもう時期、死んでしまう・・・」
病死を待つのは嫌なので、履物を脱いで断崖に立つ。
そこに現れたのは、自殺を止めようと追いかけてきた金田一。
啄木はここぞとばかりに泣きすがる。
そして「帰りの電車賃と当面の生活費を貸して」
客が来ないから
犯人の目星がついていても、咳が出るので尾行がうまくいかない。
同じアパートに住む平井太郎少年(後の江戸川乱歩)に先を越される・・・などで、探偵業はあがったり。
「困りました。今月の家賃も払えそうにありません」
泣きつかれた金田一は気付けば、部屋の本を売り払っていた。
死ぬから、ふたたび
突然よろめいてすがり付き、やつれた顔で、
「わたしは死んだら・・・あなたを守りますよ、ゲホゲホ」
金田一は思わず、懐から財布を出していた。
犯人隠避
アパートで働く加世さんは、クリスチャンで教会に出入りし、懺悔室で人の悩みを聴く。
実は加世さんはそこで、人をそそのかしていた!
その人たちの末路は「首を搔き切って自害」「病気を苦に事故を装って自殺」「追い詰められて刃物でつっかかり、返り討ちで死亡」などなど。
そんな加世さんを庇って啄木はいう。
「誰も人を殺しちゃいないのです」
この場合は「これは貸しですよ」といったところでしょうか?
探偵は犯人を追いかけるばかりではありません。
犯人を逃がすこともするようですよ。
後でお金を毟られそうな気がしますが・・・
文章:ヒトツメロバ