出典:©福本伸行/講談社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ
タイトルは「ぎゃっきょうぶらいかいじ」と読みます。稀代のギャンブラーに成り上がった主人公の伊藤開司(カイジ)の一瞬一瞬の勝負を描いたストーリーです。
ジャンケンやくじ引きなどギャンブルとして成り立っていないようなものも出てきますがカイジにとってはこの世のあらゆるものがギャンブルになりうる素質を持っているのです。
命を賭けた戦い
友人の借金の保証人になったことをきっかけにどん底から這い上がるためのオールマイティー型ギャンブラーとして成り上がるストーリーです。
多額の負債を抱えたカイジは地下工事現場で強制労働をさせられていました。帝愛グループの総帥に1000万円の借金があるカイジはゲームに勝つことにより1000万円を獲得し、自由のみになろうとしていました。しかし、そのゲームは数多くの命を奪う命がけのゲームだったのです。
まさに地獄絵図、まさにデッドオアアライブだったのです。そんなゲームでとち狂った世界を嘆きながら、生きる道を模索する姿は、決して無感情ではなく、しかし自らがそのような命の駆け引きをする場に居合わせたことで生まれた冷淡さも持ち合わせています。
最凶のキャラクターTOP3
1位 伊藤開司(いとうかいじ)
1位の伊藤開司(カイジ)は自らの運命を深く悟っています。自分が生き残るためには蜘蛛の糸を掴むような覚悟が必要なのだと。そして天性の物事を瞬時によむチカラを武器に極限のゲームに勝ち続けます。
その一瞬一瞬がこの作品の醍醐味として刻まれるのです。
2位 兵藤和尊 (ひょうどうかずたか)
2位の兵藤和尊という人物は、このゲームを支配する帝愛グループの総帥です。闇家業として強制労働をさせているのですが、誰かが状況に困惑し精神の崩壊へと導かれる姿を見たいという理由で『死のゲーム』を立案した人物です。
3位 利根川幸雄(とねがわゆきお)
3位の利根川幸雄という人物は、帝愛グループのNo.2であり、ゲームの支配者です。時折哲学的なことを言って挑戦者達を論破します。正に悪の枢軸と言った表現が最も似合う人物でしょう。
原作漫画『賭博黙示録カイジ』によるとカイジが最後の賭けに勝った時、兵藤に「改心しなさい」と諫められることになります。
結論ありきのスリル
カイジはゲームに勝ち続け、生き残り、勝者になる、そして娑婆に帰ってゆくのだ。こんなに容易に想像できてしまう結末を知りながら、何故視聴者はこの作品に妙な興奮を覚えるのでしょう。
1話として、一瞬として見落としてはいけないという切迫した感情すら覚えます。それが原作者の福本 伸行(ふくもと のぶゆき)氏の漫画家としての実力なのでしょう。実際にデザインが優れているとか描写が美しいとかではないのです。いつの間にか読者が原作者とロシアンルーレットしているような妙なスリルがこの作品を盛り立てています。
不動のイデオロギーと無駄のない設定
元来『カイジ・シリーズ』には原作漫画、1996年に発表された『賭博黙示録カイジ』という作品があります。
この作品のストーリーも今作『逆境無頼カイジ 』と同じように理不尽な理由で借金をした主人公が、フランス語で「希望」の意味を表すギャンブル船「エスポワール」で賭けに勝ち続けゲームの勝者となり、元の生活に戻る、といったものでした。そして賭博黙示録にも兵藤と利根川が登場します。
同原作では、勝者となったカイジに対して、熱い鉄板の上で利根川が10秒間土下座するシーンが感動を呼ぶ1シーンとして有名になりました。
文章:Shinichiro.S