出典:(C)ちばあきお・エイケン
キャプテンという野球漫画を読みましたか。ストーリーは青葉で二軍の補欠だった、谷口が墨谷二中に転校してきたところから始まります。
谷口は墨谷二中のキャプテンに選ばれ、弱小だった墨谷を強豪校へとのしあげていくことになります。
谷口は、一年生はどんなに上手くとも起用しないという、墨谷二中の従来の伝統を覆しました。そのことが墨谷を快挙に導きます。墨谷二中は初めて、決勝までコマを進めました。
決勝の対戦相手は全国大会で連覇を成し遂げている青葉。ナインの士気はおおいに下がりましたが、影の努力に鼓舞されるかのように、チームメイトはやる気になりました。
青葉が二軍を起用したこともあり、墨谷は8回裏までリードしていました。青葉の監督が14人以上起用してはいけないというルールを破ったため、逆転負けを喫することとなりました。
青葉のルール違反は理事長の耳に入り、再戦が決まります。事実上の日本一をかけて、青葉とまみえることになりました。
再戦にあたり、イガラシが三~四回しか投げられないという弱音を吐きます。墨谷には他にピッチャーはいませんでした(元々のエースである松下が決勝戦で負傷で投げられない)。
再戦まで時間がないにもかかわらず、谷口は投球練習を開始します。ナインは失望する中、彼は最後まで諦めませんでした。わずか一〇日間で、投手として通用するだけの力を身に着けます。
そして、青葉との再戦が始まります。全国大会の舞台に慣れていない墨谷はあがってしまい、三回までに9点のリードを奪われます。四回、五回はゼロで抑えるものの、先発のイガラシは限界が近づいてきていました。
9-0とリードされた墨谷は五回裏に反撃します。丸井(谷口の次のキャプテン)のホームランにより、3点を返します。スリーランホームランには、谷口の投球練習を目の当たりにしたことにより、青葉が動揺したという事情がありました。
3点を返した墨谷ですが、6回表にハプニングが襲います。谷口がファールフライを捕球しようとした際に、爪を割ってしまいます。そのことで、投球が不可能になりました。
イガラシはすでに限界を迎えていましたが、6、7、8回を0に抑えます。そのことが墨谷のナインを奮起させます。
8回裏墨谷は3点を返し、9-6と迫ります。ただ、疲労の限界を超えていたイガラシがベース間で倒れてしまったのが気がかりです。
青葉はワンアウトを取られたところで、監督が非情采配を取ります。とっくに限界を超えているイガラシをファールで潰すように命じました。
作戦は成功し、バッターは一塁に出塁しました。イガラシはもう投げることができず、爪を割った谷口が登板します。
青葉の監督は続けてファールでつぶすように指示をするも、味方の観客からも大ブーイングを浴びます。バッターは前に打球も飛ばすも、ダブルプレイに倒れました。
9-6で迎えた九回裏、墨谷は二死ながら一、二塁のチャンスを作ります。ここで2番バッターがサードゴロで試合終了と思われましたが、なんとサードがエラー。墨谷は命拾いをしました。
次のバッターはイガラシ。青葉の監督はイガラシの打力に恐れをなしたのか、満塁にもかかわらず敬遠の指示を出します。墨谷は労することなく2点差に迫りました。
4番の谷口に対しても、青葉の監督は敬遠の指示をします。青葉のエースである佐野はそのことに大いに動揺し、ホームスチールを許してしまいます。たちまち一点差となりました。
青葉の監督はここでバッテリーを呼びます。佐野の意志を確認し、勝負するようにいいました。佐野はそのことに意気を高めます。
魂のこもった勝負は、谷口が痛みに耐えながら、ヒットゾーンにボールを飛ばしました。三塁ランナーが帰り、同点となりました。
二塁ランナーはイガラシ。本来はストップなのですが、誰も投げられない事情を察知して、ホームに突入しました。バックホームされるも、ランナーの足が早くホームインとなりました。
10-9のサヨナラ勝ちで墨谷が初優勝を飾りました。
キャプテンは、現代では否定されがちな、根性論に重きを置いた構成となっています。どんなに下手であったとしても、努力次第でどうにかなるのを証明します。多くの人に勇気、感動を与える作品だと思います。
発売から三〇年以上経ちました。機会があれば本作を読んでみてはいかがでしょうか。
谷口編で終わりではなく、丸井、イガラシ、近藤編と続いていきます。それぞれのキャプテンの個性を生かしています。
文章:陰と陽