出典:©「平家物語」製作委員会
『平家物語』第六話の感想を述べたいと思います。
あらすじ
平家に対する風当たりが強まるなか、京からの遷都が決まる。
慌ただしく引っ越しの準備をする資盛・びわたち。
福原の海岸でいとこ違いの敦盛と出会い、笛を吹き月見を楽しむ。
一方、清盛の館ではもののけによる変事が起こる。
清盛はびわを呼び寄せ琵琶の音でもののけを追い払おうとする。
平氏討伐をそそのかされた頼朝は、挙兵する。
清盛から大将をまかされた若い維盛は、二十万の兵に恐れをなし、
戦わずして逃げてしまう。
清盛は激怒。
なんとか流罪をまぬかれた維盛は、松の木を刀でむやみに切り、
強くなりたいと願う。
みどころ
いとこ違いの敦盛とともに、笛を吹く場面に心が和みます。
血生臭い戦の世にも、エアーポケットとしての安らぎがある。
そのことを感じさせられます。
荒ぶる武士としての平家が、高い地位を得て、安穏として栄華を極める。
そのなかで舞を踊るなど教養の深い子孫も増えてきます。
ですが武士としては軟弱な維盛に象徴されるように、平家の力の衰えが
だんだんと見られてきます。
まとめ
強権を振りかざす父・清盛を止める役割を果たしていた重盛が亡くなり、
平家には権力のバランスをとる人物がいなくなってしまいました。
栄華を極めたことで物質的な基盤を得、それゆえ高い教養を持つ維盛のような
存在も現れましたが、心優しい反面、戦いには全く不向きな性格です。
強さと知性とを兼ね備えた人物というのは稀な存在であり、権力を維持するというのは
とてもむずかしいことなのだ、と思い知らされました。
文章:kuragigo