出典:(C)学研/日本経済社/テレビ東京/手塚プロダクション
大阪の大学の医学部で漫画を執筆していた手塚治の出世作であり、全国にその名を轟かせた初の作品です。執筆した時期は『鉄腕アトム』と重なりますが、連載をスタートさせた時期は『ジャングル大帝』の方が早いです。4度にわたりアニメ化され、西武ライオンズの公式マスコットキャラクターになったことでも知られています。
『ジャングル大帝』あらすじ
物語の冒頭で、白い雌ライオンのエライザはハンターに捕まり動物園に連れて行かれてしまいます。抵抗したエライザの恋人パンジャは猟銃で撃ち抜かれて死んでしまいます。そしてここに重要な伏線があります。
人間たちの俗欲により命を奪われたホワイトライオンの未来を描くのがこの2匹の子供・レオです。レオは進化し続け、人間の言葉も喋れるようになり、ライヤという雌のライオンと結婚します。そして2匹の子宝に恵まれますが、何れ人間たちと対立することになり…。
『欲深い人間たちに立ち向かえ!』
手塚治の原点ともいうべき感動作です。1年間に及ぶテレビシリーズは2度リメイクされましたが、今回紹介する第3作(1989年)は、完成度が高く、少女漫画的要素の強い描写が特徴的な作品です。手塚治といえば宝塚に原点があり、宝塚歌劇団の影響を強く受けていることはよく知られている事ですが、のちのリボンの騎士などに通じる女子ウケの片鱗が垣間見られます。
両親を失ったレオは幻の石である「月光石」を巡って欲深い人間たちと対立し、勝利します。そしてその後のいざこざで一度は森を出て行ったレオですが森の外で目の当たりにしたのが「生と死」の世界でした。
レオは森の仲間たちとの思い出を胸に再び森へと帰っていきます。森の長として、ジャングル大帝としてレオは森のみんなを守ります。そして究極の家族愛がそこにはありました。
文章:Shinichiro.S