出典:©竹内良輔・三好 輝/集英社・憂国のモリアーティ製作委員会
「やつらは義賊だ」
モリアーティたち「犯罪卿」の活動から、そう確信したシャーロック・ホームズは、彼らの邪魔をしないよう立ち振る舞う。
一方で、成り行きとはいえ「階級の撤廃」という志を同じくする政治家を手に掛けてしまうなど、中々思惑通りに事が進まないことに、もどかしさを感じたウィリアム・ジェームズ・モリアーティは、悪徳貴族を直接襲撃するという強硬手段にも打って出るのだった。
要するに邪魔者を排除しながら、市民の団結を計る事件を起こそうというのだろう。
「事件を利用して市民の一体感を図ろうとしている」
連続殺人事件を逆手に取る
大英帝国においてフランス革命の再現を企む者がいる。
娼婦ばかりを狙う殺人鬼ジャック・ザ・リッパー事件を起こして、警察と自警団との対立を煽り、事態を広げることで、やがては階級社会を打倒しようというのが彼らの計画。
これに対し、モリアーティたち「犯罪卿」グループは、階級社会を打ち倒すという同じ志であろうと、そこに弱者の犠牲があってはならないという立場をとる。
逆に「犯罪卿」側で連続殺人犯ジャックになりすまし、人々の前に出ることで警察と自警団の団結を図る。
その陰で事件の首謀者も始末する。
火災を起こす
ロンドン大火がヒントだろう。
燃える街を前にしても、消火活動に邸内の池を使われるのを拒む貴族に
「あんたたちは国への奉仕が認められて、貴族でいられるんじゃないのかい?」
気づかされた貴族たちも参加して、消火活動に当たる。
大火の主犯として人々の前にでる
貴族も一般市民も一斉にウイリアムに罵声を浴びせる。
そんな一体となった人たちを満足そうに見つめるウイリアム。
ウイリアムは、皆の前でホームズとの戦いを演じた後、飛び降り自殺を選ぶ。
「親友を死なせてたまるか!」
ホームズもウイリアムを追いかけて飛ぶ。
ホームズは無事彼を生きて逃がすことに成功するのか?
気付いたことがある。
口髭の日本人がいるのだ。
おそらくは夏目漱石だろう。
大火の時はどこにいたのか?
ヒゲとか頭とかチリヂリになっていたら面白かったのに。
文章:ヒトツメロバ