最近やたらと耳にする「セカイ系」とはどういったものなのでしょう?
主に「セカイ系」とカタカナで使われることの多いこの言葉、意味は「とある個人による世界創生的一人語り」などの総称です。エヴァンゲリオンがその代表作であり一人で全世界または全宇宙との対話をしているような壮大な状況を示す言葉です。一般的にサブカルチャーの分野で多用される言葉でアブストラクトなイメージです。
巨神兵の深淵
代表作として、エヴァンゲリオンを上げましたがそのルーツは『風の谷のナウシカ』の原作漫画にあるのではないかと筆者は勘繰っています。アニメ映画の『風の谷のナウシカ』は神の使者であり救済者であるナウシカをフューチャーしていましたが、原作では神々のヤシロで混沌に喘ぐ孤独なナウシカが映し出されています。孤独な使者の信念は決して多くの言葉で表されるものではありません、しかし、まるでこの星を救済する鍵を持っているかのような振る舞いでオーマ(火の七日間に出てくる巨神兵)を従えて神殿に直訴するナウシカの姿は正統派のセカイ系に見えます。
因みにナウシカでは原作漫画につきセカイ系となっていますが、『交響詩篇エウレカセブン』では原作漫画は悲劇のヒロインを演じるエウレカがTVアニメ版ではセカイ系ヒロインになっているなど、とうとうメディアミックスの時代もここまできたのか、という感動を覚えました。
その他のセカイ系の代表作
HELLO WORLD
エヴァンゲリオン
最終兵器彼女
女子高生の無駄つかいのヤマイ
RAVE
ヤマイを除き、どれも世界の終わりを予見するような作品が多いです。HELLO WORLDに至っては限られた範囲で時空が歪められ存在が抹消されるような形になっています。最終兵器彼女も世界の平和を兵器になることで実現しようとする(結果的にですが)悲劇のヒロインが描かれています。セカイ系とはある意味残酷な運命を映し出しているものなのです。
筆者が思うセカイ系アニメ映画 TOP3
1位 HELLO WORLD
2位 天気の子
3位 劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ
また、ヒーローとヒロインがいる作品で二人の関係が直接世界のあり方を変えてしまうといった解釈では新海誠監督の『君の名は。』『天気の子』も同様なテーマに入るのです。
そこまでメジャーじゃなくても『魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ)』など多くのセカイ系作品が既に世に出ています。『天気の子』における「世界の形を決定的に変えてしまったんだ」という、ど直球な台詞はアニメーション界に刻まれたセカイ系の代表的な一言でした。
セカイ系という表現について
このセカイ系という言葉が提唱されて幾年か経ちましたが、今後言葉自体が廃れていくのかどうか、は誰にもわかりません。ファンタジー→セカイ系→不思議系と解釈されるリスクもあるので、特定のコミュニティー以外ではなかなか使う機会のない言葉なのかもしれません。人の形成する文化は最終的にはリアリズムにとどまることでしょう。そんな中でも耐性を持っている、優れたファンタジー作品が多く世に出ることを望んでいます。
文章:Shinichiro.S