アニメアイズ

『南国少年パプワ君』藤子不二雄氏の作品で育った世代のニューヒーロー(1992年)

出典:©柴田亜美/スクウェアエニックス・日本アニメーション

柴田亜美の代表作はこの作品だけです。それ程実力を評価されている人物ではありません。

この作品との出会いは中学生の頃、そのコンセプトとシチュエーションに興味を抱き漫画を手に取りアニメを視聴した記憶があります。後にも先にも南アジアを舞台にした比較的イージーな、このような作品を見たことがあったでしょうか。日本がかつて南国を大東亜共栄圏に組み込もうと戦争を引き起こしたことなど心の片隅にあるのでしょうか。

あまりにもほのぼのした展開ながらしっかりと敵対勢力がいる様子は見ていて飽きがこない良作だと思います。

シンプル イズ ベスト

ある時、南国パプワに流れついた主人公の成年は、シンタローという名を持っています。ガンマ団という組織に追われてその島に流れ着いたのです。ガンマ団の目的はシンタローが持っている「青い秘石」です。シンタローはその島でパプアという名の少年と出会い匿ってもらうことになります。

やがて無口なチャッピー(犬)や人語を話す生物(ナマモノ)とも仲良くなり青い秘石を守る為に戦い抜くことになります。

パプア君は2人称の主人公

とにかく見た目の風貌が、大きな葉っぱで作ったと思われるパンツに上半身裸のパプワ君と獅子丸的風貌のチャッピーの姿、このインパクトが当時まだ大人ではなかった筆者の心を鷲掴みにしました。

ストーリーなどそっちのけでシンタローを含む3人の日暮らしを覗き見るだけで幸せだったのです。この作品は日常の不思議を表現することに長けているもので、設定はシンプル。ガンマ団が長い年月保管していた青の秘石をシンタローが盗み、赤の秘石が自然の力で保存されているパプワ島にたどり着くというストーリーです。2つの秘石を併せ持つものは世界の支配者になれるといった顛末です。

シンタローは悪人なのか!?

主人公がシンタローなのかパプワ君なのかは未だに謎ですが、シンタローは「世界の支配」といった野望からかけ離れたガンマ団から秘石を盗み、もう一つの秘石があるパプワ島に持ち込んでいます。

ガンマ団とは青の秘石を代々守ってきた一族の末裔です。赤の秘跡のルーツはパプワ島です。この確固たる構図にシンタローが「伝説を継ぐ勇者」として存在しうるのか、単なる同族を裏切った盗人なのかも一つの謎です。ガンマ団とシンタローのどちらも正義のために秘石を守ろうとしていることがポイントです。

一応シンタローもガンマ団の一員だったので、ガンマ団自体に何かしらの問題が発生したのかも、という視点が必要かもしれません。

パプワ君はわがまま!?

島に流れ着いたシンタローを迎え入れたパプワ君はとにかくシンタローをこき使うのです。

パプワ君は我が強くどSな性格の持ち主ですが、秘宝を売り飛ばそうとするなど、ず馬抜けて自由で壮大な性格も描かれています。彼のギャグセンスは子供に想像力を働かせます。そして、パプワ君の祖先の話になってきます。シンタローの出自も明らかになり、秘宝とパプワ島の不思議はついに昇華します。

画風こそ、年代を感じるものですがシンプルなストーリーと確たる平和的なテーマが物語を上手く締めています。ぜひ一度は見て欲しい作品の一つです。

 

文章:Shinichiro.S

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