出典:(C)サンライズ
アメリカでバトルスーツもののアニメが登場したのは1960年代の「アイアンマン」が恐らく最初です。聖闘士星矢に続き、サムライトルーパーが成功を収めたのが、1988年になります。しかし、アメリカン・コミックの情報に乏しい当時の日本ではバトルスーツ、しかも鎧の戦士たちの姿はあまりにも新鮮で魅力的でした。
5人の選ばれし戦士たちがバトルスーツによりそれぞれの個性を活かした戦闘を行う姿は当時の子供の目には新種のファンタジーに映りました。
5人のヒーローがついに登場
舞台は新宿、突如として妖邪帝王阿羅醐(あらご)が妖邪四天王を召喚します。彼らの目的は地球社会を支配することでした。そして、この星を守るため鎧擬亜(よろいギア)と呼ばれるバトルスーツを着た、選ばれし5人のサムライトルーパーが姿を現します。
サムライは侍、トルーパーは兵士の意味です。迦雄須(かおす)という戦国の世に於いて妖邪たちと戦い続けた勇者の助けを得ながら5人は阿羅醐に迫ろうとしていました。実に39話に及ぶ戦闘を続けた戦士たちは、当時の子供たちにとって、間違いなくヒーローでした。
最強のDNAを継ぐ者たちの活躍に注目
主人公は真田十勇士で有名な真田家の末裔・真田遼です。5人の中では一番平凡なルックスで戦闘においても安定感を見せてくれます。カオスにより最初のサムライトルーパーに選ばれた烈火の戦士です。
他のメンバーも羽柴家、毛利家、伊達家、チンギス・ハーン家の末裔と、子供にもわかりやすい設定となっています。
壮大な世界観と正義を貫く安心感で子供達もドキドキ
キャラクター性の魅力もさることながら、真田のそばにいつもついてまわる白虎の存在感がこの作品を大いに盛り立てます。子供たちに勇気を与えてくれる作品だと思います。
『闇魔将(やみましょう)悪奴弥守(あぬびす)』など世界の神話も刷り込んでいる世界観は鑑賞する子供達に対して質の良い刺激を与えてくれます。単純に子供向けアニメとしてのクオリティーの高い作品だと思います。
日本のアニメカルチャーの代表作
2018年をもって30周年を迎えた『サムライトルーパー』はサブカルチャーの場面で、再び注目を浴びることとなりました。昔は子供たちのヒーローとして活躍したサムライたちでしたが、今や一つの時代を象徴するシンボル的存在になりました。
『ポケモン』や『ナルト』を見て育った少年達はこの文化をどう捉えるのでしょうか。時代は愛玩的趣向に傾いているのかもしれません。しかし、善悪を了解するために必要なステップとして、このような作品、このような文化が次世代に引き継がれることは非常に有効だと思います。
文章:Shinichiro.S