出典:© あだち充/小学館・東宝・ADK
2019年時点で明青高校野球部のその後を描いた『MIX』が日本テレビ系列で放送されています。『タッチ』はフジテレビ系列なので局をまたいで続編が放送された珍しい作品です。迫力のある野球シーンやしっかりと骨格の整っているストーリー展開は『タッチ』の真骨頂です。
弟の死と兄の努力
上杉達也と上杉和也は双子の兄弟です。弟の和也は明青学園の野球部エースで、兄の達也は少々はぐれた感じでボクシング部に入部しました。しかし、甲子園の地区予選のある日、和也は球場に現れませんでした。交通事故で亡くなったのです。双子の弟を失った兄・達也は弟の後を継いで野球部に入ることに決めます。地獄のような練習の成果もあり右肩上がりに成績を上げる明青学園です。マネージャーで幼馴染の浅倉南は複雑な感情を抱きながら達也を応援します。
アニメ史に残る名作
「あの日・・・決勝戦のマウンドにむかったままなんだよ、和也の魂は。甲子園ゆきの切符を手に入れるまでは動けないのさ。」という名言と共に甲子園の切符を目指す達也の姿に理想の男性像を見た人も多くいることでしょう。自分の愛する人のために何かを成し遂げたいと、背負うべきものを背負っている人の姿は美しくもあり、力強いものです。壮絶な練習の描写も少年心をくすぐるもので、小学校から高校、大学に至るまで、このアニメの感じ方は刻々と変化します。兄弟愛や達也とみなみの恋愛模様、二つの接点をつないでいるのが野球です。あだち充作品ではのちに『H2』や『MIX』という野球アニメが誕生しますがこれほどドラマティックなストーリーは2度と生まれることはないでしょう。アニメ史に残る作品であることは間違いありません。
作品を印象づけるたくさんの名言
この作品には恋愛や三角関係、兄弟愛や弟の死など多くの見所があります。それを名場面に変えているのは絶妙な台詞回しではないかと思います。
また和也がライバルである新田に勝利する軌跡は押さえておいてほしいですね!
文章:Shinichiro.S