出典:©高橋しん/小学館・東映ビデオ・東北新社・中部日本放送
漫画家・高橋しん氏の同名漫画を元に描かれたテレビ・アニメ・シリーズです。ごく普通の青春恋愛ドラマとしての要素と女子高生が戦闘機に変身するという大胆なファンタジー的要素を兼ね備えた他に類を見ない作品に仕上がっています。
『最終兵器彼女』あらすじ
舞台は北海道。ある街で暮らす「シュウジ」と「ちせ」は高校のクラスメイトの間柄です。ある日ちせがシュウジに告白し恋愛はスタートします。交換日記などを交換し、いつしか二人の恋は「愛」へと変わろうとしていました。しかし、平和な世界はそう長続きしませんでした。地元が戦火に見舞われる中で、シュウジはいつの日か空に舞う戦闘機を撃ち落としているのが恋人のちせだということを知ります。手が巨大な武器になり羽が生えたちせの姿はまさに最終兵器であり、強大な戦力でした。ちせの運命は?修二との愛の行方は?激動のクライマックスへと物語は続きます。
『オタクの間で人気』
当時、いわゆるオタク層の間で盛り上がりを見せたフェミニズム的な作品が『最終兵器彼女』です。「少女が戦闘機に変身する」という設定に対して「悲惨な戦争を繰り返さないための愛や絆などを養う教養の重要性」がテーマになっていると思います。ちせは自分が戦うことで敵とはいえ人が死ぬことが辛くて落ち込んでしまいます。しかし、目の前で大切な人たちが被害にあうのもほっとけない様子です。日本という平和な国に生まれて、人生の中で突出した脅威や敵対心を抱かずに歳を重ねる人も多いでしょう。そういう方々は「恋愛」や「青春」を情報として受け取る割合が多いと思います。しかし、今作では、身近な場所での戦争の悲惨さを通して戦争のないことがどれだけ幸福なことかを改めて学ぶことになります。恋愛的要素に人の生き死にを掛け合わせた平成を代表する問題作です。
文章:Shinichiro.S