出典:©創通・サンライズ
放送されたのが2016年と遅い時期ですが時系列でいうと、『機動戦士ZZガンダム』の後で、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムF91』の前となります。敢えてこの時期にオリジナルストーリーを送り込んだ真意を少しでも感じられたら、と思います。
『機動戦士ガンダムUC』あらすじ
舞台は、第二次ネオ・ジオン抗争の終結から3年後の、宇宙世紀0096年。物語の中核を担うのは「ビスト財団」という組織です。初代ガンダムの頃から軍需施設アナハイム・エレクトロニクス社の後ろ盾となって暗躍していた組織であり、地球を壊滅させる程の武器を製造して連邦政府やアナハイム・エレクトロニクス社にゆすりをかけていました。
「ビスト財団」の当主カーディアス・ビストの息子であり、その事実も含めて記憶を失っているバナージ・リンクスが今作の主役です。
『箱の犠牲になる人間は、俺一人で十分だ』
やはり今作も物語の序盤で主人公の少年バナージ・リンクスが親を戦果で無くし、ユニコーンガンダムという名のモビルスーツを託されるという物語です。何故、安彦良和氏は戦争で家族を亡くした少年少女を戦場に駆り出させようとするのでしょう。
安彦良和氏は戦時中に父親が軍需産業で働いていたこともあって、戦場という場所に感化されやすいタイプの人間なのかもしれません。そして前3作で消化しきれなかった想いというのを時を経て取り戻したのかもしれません。モビルスーツというある種の芸術的象徴を戦争の道具にすることでワンクッション置いているのも事実です。
混沌とした戦場での大量破壊兵器による軍の暴走をいかにして止めるか、という点ではガンダムシリーズの王道の展開になっているといえるでしょう。取り戻せない何かを失うことで「人生の儚さ」を解いているのだと思います。
文章:Shinichiro.S