アニメコラム

全米も泣いたジブリの名作。高畑勲監督作品『おもひでぽろぽろ』をご紹介

出典:© 1991 岡本 螢・刀根夕子・Studio Ghibli・NH

原作は岡本螢・刀根夕子の漫画です。メジャーではなくサブカルチャー的立ち位置で出版されたこの作品がジブリに持ち込まれた時、宮崎駿氏は「アニメ化するには難解な原作で、高畑勲しか監督できない」とジブリに話したそうです。

 

 

あらすじ

 

舞台は1982年の夏・山形のことです。27歳になる岡島タエ子は、仕事を休み姉・ナナ子の夫の親類の家に居候させてもらいました。これが2回目の山形訪問になるタエ子は列車の中で、1度目の旅で興味を持った田園での暮らしを思い起こしていました。

滞在先では、その家の息子トシオとの交流で心動かされる毎日を過ごしました。お婆ちゃんからも「トシオと一緒になって永住してみないか」と言われます。

東京行きの帰りの列車で再び2度目の滞在を思い起こすタエ子は名残惜しい気持ちでいっぱいでした。

 

感想

 

見所はやはり、タエ子が田畑のある田舎暮らしに興味はあるが、現実は馴染むのが難しいと葛藤する姿でしょう。東京という日本の首都でOLとしての確たる仕事を持っているタエ子にとって、田舎暮らしは客観的な美しい暮らしでしかなく、現実的ではありません。

しかし、そういった想いを振り切ろうとするのは山形の人たちのおおらかで暖かい対応でした。東京でのお見合いを振り切ってまで、田舎を訪れたタエ子の心にはカルチャーショックを乗り越える思い出がありました。

 

2つの回想シーンがタエ子にとってターニングポイントになっているのは、宮崎駿氏の言った通り、アニメにおいては難しい描写だったのかもしれません。

しかし、高畑監督のもとで情緒を感じさせる列車での演出はこの映画が名作として語り継がれる理由だといえるでしょう。

 

 

文章:Shinichiro.S

 

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