出典:©麻生羽呂・高田康太郎・小学館/「ゾン100」製作委員会
あらすじ
小杉に自由を奪われ続け、ブラック会社時代のような思考停止に陥るアキラ。
シズカは、その姿に父親の支配下にあった過去の自分を重ねるのだが…。
最終日、小杉に完全に心を掌握されたアキラが驚愕の決断を下す。
呪縛の人生
小杉によって、ブラック会社時代の思考に戻ってしまったアキラ。
アキラたちの歓迎会のはずなのに、永遠に1人だけ働かされ続けるアキラを見たシズカは、昔の事を思い出していた。
「勝つべきだ。成功すべきだ。その為に私の言う事には従うべきだ」
「言葉も分からない頃から、父にそんな事を言われ続け…自分の名前を“べき”だと勘違いしていたほどだ」
父によって「完璧」を求められ続けたシズカは、幼少期から自由が無かった。
犬を拾って犬の為に尽くしていたシズカは、将来は医者になりたいと考えていた。
しかし、父親に伝えると「リスクが高い」という理由でその夢は強制的に諦めるしかなかった。
「ああ~。それから屋根裏の荷物についてだが。さっき保健所に連絡して処分させておいた」
父親によって、唯一の心の支えでもあった“家族”を失ったシズカは、「この人に従うべき」と洗脳され、支配者に支配されながら今までを生きて来たのであった…。
目覚めの一撃
2日休み、回復したケンチョはアキラに申し訳なさそうに謝罪を伝える。
当初の約束通り、この場を後にしようと思っていたがアキラがここで口を開く。
「あ…あの…そのことだけど、お…俺、ここに残って」
「これからもリーダーの下で働こうかなって…」
眼がグルグル状態で思考がままならないアキラの発言に、ただただ戸惑うケンチョ。
アキラの肩をゆすりながら声をかけ続けるケンチョだったが、アキラの状態は一向に改善されなかった。
「分かりました。だったら、私たちだけでも失礼させてもらいます」
シズカはそう口にして、その場を後にしようとする。
離れるケンチョとシズカを見ながら、アキラは“べき”という言葉を口にし続ける。
「べきべきべきべきうるさいわね!」
「アキラ君。どうせもう二度と会う事も無いんだし、最後に1つだけ教えておいてあげる」
キレたシズカが、小杉の目的をアキラに伝える。
意思を、選択を、自由を、魂を、誇りを。その全てを小杉はアキラから奪おうとしている。
シズカの魂から叫ばれる言葉、そして声を聞いたアキラは…次第に“自身”を取り戻す。
そして、小杉の前に立ち、小杉の眼を見据えながら“本心”を口にするのだった…。
全体的な感想
ブラック時代のトラウマが蘇り、またもや操り人形となってしまったアキラ。
本当にトラウマって怖いですよね。自分が同じ立場でも従ってしまうと思います…。
歓迎会なのに1人だけ永遠と働かされ続けて、周りが何も思っていないのも怖いです。
人間性の無い人の集まりなのか、小杉の支配下だからなのか…。
シズカの過去も本当に酷かったですね。
どの会社もどの家庭も、やっぱり“男側”が酷い事が多い気がします。
プライドや権力だけあっても、“人”である事をやめてしまったら何も残らないと思います。
今回のお話は、色々と考えさせられる回でもあり、見ていてイライラする回でもあり、スカッとする回でもありましたね!
そして、人はやっぱり1人じゃ生きられないですね。誰かの声や行動、支えがあって生きていけるんだと改めて強く思いました!
文章:クラッシャー佐藤