出典:©東村アキコ・講談社/海月姫製作委員会
世間とは一線を画して、オタクニート腐女子たちが引きこもり、それぞれ趣味に没頭している「天水館(あまみずかん)」
ある夜、クラゲをこよなく愛す天水館の住人、倉下月海(くらした つきみ)はペットショップのクラゲの間違った飼育法に仰天!
毒クラゲとそうでないタコクラゲを同じ水槽に入れていたのだ。
「タコクラゲちゃんが死んじゃううううう!」
いくら指摘しても店員は聞き入れようとしない。
どうにか通りすがりの美女に助けられ、彼女をそのまま天水館に泊めると・・・
その美女は実は男で、鯉淵蔵之介(こいぶち くらのすけ)という政治家一族の息子であった。
天水館の惨憺たる有様を見られてしまった。
蔵之介ははたして天水館の毒クラゲなのだろうか?
意識改革
外部との接触を断つ自分たちを「尼~ず」と呼称する天水館の住民たち。
蔵之介は、尼~ずに美しく着飾ることを覚えさせる。
結果、蔵之介の兄修(しゅう)に月海への恋心を抱かせ、月海もまた修からクラゲの雰囲気を感じとる。
こうして外出するようになった月海。
そんな月海に引っ張られ、他の尼~ずも出かけるようになる。
なるほど、天水館を良くしようとする蔵之介はさしずめドクターのほうのドククラゲと言ったところでしょうか。
月海と修がくっついて大団円?
ちょっと待ったー!
それでは、他の尼~ずはどうなる?
再開発
突然降って湧いた地上げ話。
これが意外と尼~ずにいい働きかけになる。
蔵之介が中心となって、尼~ずが天水館を買い取る計画をはじめる。
資金調達をあれこれ模索しているうちに辿り着いたのが「クラゲドレス」の販売。
尼~ずたちが制作したクラゲドレスがコンテストで賞をとり、話題になったのだ。
クラゲのドレスの売上で天水館を買い取ると同時に、ブランドを立ち上げようとする。
まさにヤリガイのある仕事を見つけられた。
水を得た魚、いやクラゲと言うべきか。
いや待てよ。
大金を手にしたら、また働かなくなり、クラゲからヤリガイを経て、ただの貝になってしまう可能性も出てくる。
余計に引きこもってしまう?
毒クラゲ?ドククラゲ?
解体業者が隣の廃アパートと間違えて取り壊そうとしたぐらいボロい天水館。
そんな天水館を再開発という名目で潰しにかかり、月海と修の恋の邪魔もする毒クラゲ人間こそ、デベロッパー稲荷翔子(いなり しょうこ)である。
しかし稲荷のこれらの行動は返って、上記のように尼~ずにはいい方向への働きかけになっていた。
毒をもって毒を制す、とはこのことか!
稲荷さんは毒クラゲに見えて実は、ドククラゲではないでしょうか?
蔵之介対稲荷さんは、稲荷さんの勝ちと見ます。
文章:ヒトツメロバ