森田まさのり氏といえば、2019年にTVドラマにもなった『べしゃり暮らし』で有名な漫画家さんです。
70~80年に生まれた世代にとっては『ろくでなしBLUES』はバイブルのようなものです。その少し前が『BE-BOP-HIGHSCHOOL』です。『ドラゴンボール』世代の感覚でいえば青春へと続く階段『ろくでなしBLUES』は最も身近な憧れだったのです。
多彩で豊富なキャラクターに注目
舞台は 帝拳高校、そして主人公は高校の番長・前田太尊(まえだたいそん)です。太尊には心を許し合える仲間や、どう頑張っても勝てない相手である兄の富士雄(ふじお)や父でお坊さんの文尊(もんそん)など、身近な愛情を目一杯受けて、恵まれた環境で成長します。
今回紹介するのは劇場版アニメーションです。番長である太尊をよく思っていない同じ学校の中田小兵二(なかた・こへいじ)が南鉄高校の反町というツワモノに、自分が太尊だと嘘をついたことから騒動が始まります。別格の相手に喧嘩を売ってしまった小平次は、切羽詰まって、舎弟を太尊の元に送り込み、「小兵二は不治の病で、死ぬ前に一花咲かせたかったのだ」、と伝えます。
小平次の舎弟の言葉を鵜呑みにした太尊は、自分の素性を隠し反町と戦います。
懐かしさ満載の青春アクション活劇
漫画版とは少し違った魅力を感じます。もしかすると『ビーバップ』の影響を受けているのかもしれません。
兎に角、土台がしっかりした作品なので原作のファンにはウケが良かったと思います。
制作サイドの選抜がユーモアを感じさせる作品
この作品『ろくでなしBLUES』をアニメ映画で初めて観るという人には少々違和感があったかもしれません。予想以上に劇画的表現が多いと思います。脚本が「まじかるタルるートくん 燃えろ!友情の魔法大戦」の菅良幸氏だということもコミカルな描写に影響を与えているのかもしれません。
受けた影響・与えた影響
また、「竹内力」のかおるちゃん最強伝説にもシンパシーを感じます。世代としては『スラムダンク』に繋がる布石ともいえる作品です。ヤンキー文化と青春といえばこういった作品が思い出に残っている人も多いと思います。
一方で幅広い層に人気を得た今作は、スタイリッシュな原作と電撃が走るような荒々しさで存在感を見せつけており、時代を象徴する作品に仕上がっていると思います。
モデルとなったキャラクター達
『ろくでなしBLUES』には登場キャラクターに多くのモデルとなった人たちがいます。
主人公の前田太尊はマイク・タイソンとプロレスラーの前田日明氏がモデルになっているといわれています。
その他にも、いつも学校の屋上で集っているメンバーにはブルーハーツというパンクバンドのメンバーがモデルになったキャラクター(ブルーハーツ公認)達がいます。
原作の魅力が凝縮されたストーリー
30分間という短い時間の中で、これほど凝縮されたストーリー性を引き出しているのは素晴らしいことだと思います。尚且つヤンキー漫画の王道のストーリーなのです。
同じ様なストーリーがテレビドラマ『実写版今日から俺は!』でも描かれていました。もっと前にも見たことがある様な気がします。
このストーリー展開の魅力を引き立てる器としては『ろくでなしBLUES』は最高の器だったのではないかと思います。
文章:Shinichiro.S