出典:©荒野のコトブキ飛行隊製作委員会
先ず、この作品には原作が存在しません。バンダイナムコがピストンエンジン式の飛行機(零戦など)を題材にした作品を作りたい!!ということで生まれたのがこの作品です。なのでストーリー重視はもとより、デザインに趣向を凝らした作品としても評価することが粋でしょう。
少女戦隊モノの極み
物語の環境設定は地・海・空の「地」が荒れ果てた荒野になっている世界で、地下資源や空路によって人々が生計を成り立たせているという設定です。主人公は空輸を生業とする大企業の用心棒として働く「ことぶき飛行隊」の隊員(パイロット)キリエです。愛機の名は“隼”(はやぶさ)。のちに零戦も登場します。
最終的に敵対するのはトウワ・ブユウ商事の会長イサオです。荒れ果てた荒野の「地」に関する異次元的な「穴」についての覇権争いは緊迫感があって何度見ても画面に引き寄せられるものがあります。
日本の昔と今
ことぶき飛行隊は女性ばかりの組織で趣向としては『ガールズ&パンツァー』に似ており、同作で活躍した二宮茂幸氏がミリタリー監修として参加しています。実は、このストーリーの根幹には日本の産業革命という大きな問題が戦争の原因として示されており、空輸の活性化とともに空賊が盛んに活動するようになったという経緯があります。
現実世界の時事ネタでは日本のスパコンが世界一位になったとか、相変わらず日本人による他の国には真似できない高い技術力が注目されていますが、平和の維持のためにはどうあるべきなのか、など考えさせられました。
まとめ
身近に潜む「権力」や「資本主義」や「治安維持と戦争のパラドックス」がこの作品をただの少女戦隊モノから一歩成長した物語にしています。現代の平和な日本で大人になってもちゃんと学ぶべきことを学べる環境に(しかもアニメで)あります。これはもう民間によるプロパガンダの提案には収まりきれない教養があるなと感心しました。
世の中の理不尽に押しつぶされそうになったら、この作品を思い出しましょう。戦う勇気、守るための強い心を取り戻すことができるでしょう。
文章:S.Shinichiro