近年、北欧神話を題材にした映像作品は大きな話題と称賛を受けています。そんな中で、より深く北欧の文化(ムーミンが描かれたのはフィンランド)に触れることができるのがムーミン谷のこの物語の優れたところです。
一般的には北欧の民間伝承であり、ムーミンとはトロールという妖精だというのが一般的な認識です。
妖精と不思議の戯れ
冬眠していたトロールのムーミンは春になって目を覚まします。そして、スニフとスナフキンと出会い、遊んでいると岩陰に不思議なシルクハットを見つけます。その帽子は何にでも姿を変えてしまう魔法の帽子でした。
ムーミンはミイと二人で帽子を隠しますが、帽子に毛糸が入ったことでムーミンの家がジャングルになってしまいました。またある時には無数のニョロニョロに出くわします。スナフキンはニョロニョロは気圧計を求めていると言います。
その後もムーミン谷には不思議なことや魅力的なお客さんが訪れ、妖精達の和やかな日常はまるでアートの中にいるような素晴らしい世界を表現します。
スナフキンも妖精だった!?
ムーミンの住む家がムーミン谷という名の場所にあるのは、ムーミンパパが、川に橋をかけたからだという説があります。
スナフキンは一見して人間のように見えますが、「 ムムリク」と呼ばれる種族の妖精だったということは意外と知られていません。
そもそもムーミンの世界には人間は登場しないのです。筆者が毎週ムーミンを見ていたのは1990年~1992年の楽しいムーミン一家シリーズだと思います。幼心に、現実乖離したこの世界観を素直に不思議そうに見ていた記憶があります。今思うと想像力豊かな時期に根っこのしっかりしたファンタジーに触れ合えることは必ず財産になるものだと思います。
トーベ・ヤンソンは偉大だった!!
原作が世界大戦中に政治風刺画を描いていたトーベ・ヤンソンだということも驚きの事実です。こんなに純粋で皮肉っぽさのかけらもない美しい作品を風刺画家が描いていたとは!!
次世代へと伝承しなければならない名作だと思います。
歴史をいとわず平和を描いた名作
ムーミンが初めておおやけに発表されたのが1945年です。ちょうど第二時世界大戦が終息した年になります。風刺画を書いていた北欧の天才アニメーターが何よりも平和の価値を全世界に発信しようとした、この事実は世界の文芸史にとって遥かな栄光だとおもいます。
今なお人気があるのは、そのメッセージ性があまりにも純粋で愛に満ち溢れたものだったからでしょう。
日本人の心に響いたアニメ『ムーミン』
実はこの作品は北欧よりも日本人に愛されていると言われています。前記したような戦争と、その後の平和の時代の流れも影響しいているでしょう。(アメリカの)スヌーピーなどと同様に世界に愛される自国(フィンランド)を象徴するキャラクターへと成長しました。
文章:Shinichiro.S