出典:©米スタジオ・ビレッジスタジオ/集英社・テレビ東京・NAS
画風は『黒子のバスケ』や『ハイキュー!!』にも似た印象で近年の「スポーツ×青春」を代表している名作の中の1作品です。
アニメのカラーを見ている限り『ジョジョの奇妙な冒険』に影響を受けているような感覚もあります。しかし、アメリカンフットボールを題材にこれほどオリジナリティー溢れ躍動感のある作品を世に残したことは称賛されるべきことでしょう。
始めたきっかけはどうあれアメフトに夢をかける青春時代
舞台は私立泥門(でいもん)高等学校、主人公は小早川瀬那(こばやかわせな)という気弱な高校生です。昔からのいじめっこにタカられ、逃げていた瞬間をアメフト部の部員に見られたせなは、その流れと成り行きで、泥門高校アメフト部「泥門デビルバッツ」のメンバーになることになりました。
足の速さでは負けないせなはみるみるうちに頭角を現し「泥門デビルバッツ」の重要な戦力になります。しかし、通用するのはあくまで泥門高校内での話。市や県の大会で苦渋を舐めつづける度にせなは本物のプレイヤーになろうとしていました。
夢と現実を見たアメリカ遠征
アメリカンフットボールのアニメらしく、高校生の主人公せな達はアメリカに遠征に行くことになりました。
本場アメリカでは、「死の行軍(デスマーチ)」と呼ばれる恐ろしい訓練が待っており、世界と戦うために必要な伸び代を目一杯引き出されます。
瀬那には俊足という武器がある
主人公は多彩なテクニックを学び、自分のものにすることにより、元から持っている俊足という武器を最大限に引き出すシーンが随所にあり、今作の見所になっています。
各キャラクターのモンスター級のテクニックは物語に躍動感を生み『キャプテン翼』を幼少期に見たときのような感動を覚えました。
命を燃やす争いには飛躍したイマジネーションも必要
スポーツアニメなのにどこか化物と戦っているような感覚に陥るのは原作者の稲垣理一郎氏の「思う壺」なのかもしれません。
アメリカンフットボールを身近に感じられるようであり、全く別の、今まで持っていたスポーツの概念とはかけ離れたものに見せているところが技ありだなと思いました。
稲垣理一郎氏のユーモアセンスに感服
原作者の稲垣理一郎氏は『Dr.STONE』を描いたことでも有名な今世紀の漫画家の中でも有数な才能の持ち主です。この人の最大の魅力はユーモアセンスにあると思います。
常に緊迫感のあるユーモアは他のどの作家とも異なる異色のアイデアを生み出します。想像の段階でアイデアを彩るというよりもペン先でアイデアを埋め込むようなイメージです。ただし、作中で作者のユーモアを感じられるのはあくまで抽象的で環境的なパーツだけで、基本的には情熱を描いているのがこの作品の特徴だと思います。
歴代最高のスポーツ漫画ともいわれるこの作品を一度チェックしてみてはいかがでしょう。
文章:Shinichiro.S