前シリーズ『攻殻機動隊 Stand Alone Complex』では反社会勢力の間でカリスマ的存在であった「アオイ」という存在がフューチャーされていました。
クレバーでありながら幼くて、純粋な正義心は物語の最後で主人公の素子(もとこ)率いる公安九課にスカウトされる程に、圧倒的な存在感でした。今作「2ndGIG」では、クゼ・ヒデオというカリスマが革命的に暗躍します。
占拠された大使館
物語のリードは「9.11以降の世界戦争」「在日朝鮮人」などシビアな問題になっています。アオイに関してもクゼに関しても日本国籍な訳で、制作側としては、日本という帝国の行く末を案じするような狙いがあるかもしれません。
第1話の舞台は日本のとある場所。「個別の11人」と名乗る武装グループによって中国大使館が占拠されたのをきっかけに公安九課の無期限待機処分が解かれようとしていました。クゼを含む「個別の11人」が互いの首を切り落とすという謎の集団自決を実行します。
クゼはそれを拒否し逃亡を図ります。生き残ったのは3人。背景には内閣情報庁の合田一人がばら撒いた「個別の11人ウイルス」も関係していそうです。物語はクゼと合田を中心に進みます。
現代から未来において懸念される社会問題がテーマ
物語の根幹を担うキーワードとして合田(内閣情報庁)のウィルスや人種隔離そして、もちろん電脳についての問題があります。
シニカルをもユーモアに
私達人間が生きる為に必要と考えた「技術」には色々な哲学的要素があり、その心を各エピソードがドラマティックに諭していきます。
ある生活の中で、神格的要素は生命の神秘を映し出してくれます。学問において科学とは自己探究以上の何者でもなくなります。
「科学の神秘を人の科学が超えた時、人に与えられる試練は何を教訓とするのか」。そんな身近で壮大なテーマがこの作品には宿っていると思います。
人間だけではない魅力的なキャラクター
不思議な形態を象徴する役者としてタチコマという戦闘用AIロボットがリアリズムに通じすぎており極めて興味深いロボットです。「ドローン」や「AIスピーカー」の次にはこのタチコマという蜘蛛型ロボットがくるのではないかとすら崇拝しています。
原作者の想像力とアニメーターのギヤを入れ直したような描写により近未来アニメの代表格を担うこの作品は数十年後の日本文化においても言及されること間違えなしです。
文章:Shinichiro.S