2016年にようやくテレビアニメ化されたこの作品は、漫画家の桜井画門氏が2012年から今(2019年時点)も連載を続けている話題作です。不死身の肉体を持つ「亜人」という人種は自覚症状が無い程にごく普通の人間として暮らしています。稀に主人公の永井圭のように事故での負傷と復活によって「亜人」であることを気付かされます。
『亜人』あらすじ
交通事故により自身が「亜人」であることを知った主人公の永井圭は政府に追われる身になります。「帽子」という異名を持つ正体不明の男・佐藤と接触し、「静かな生活を送ろう」と約束したにも関わらず、佐藤は厚生労働省に圭を突き出してしまいます。
収容所で行われていたのは不死身である「亜人」への人体実験と言う名の拷問でした。再び佐藤の手により人体実験場から逃走した圭でしたが、佐藤は亜人を集めて「人間の大量虐殺」を指揮しようとしていました。トラウマを抱え隠居生活だった圭は再び佐藤のもとを訪れることになります。
『生と死の無限ループを繰り返して』
「亜人」に関しては原作漫画の初版発売日が2012年ですが、2011年に発表されたのは石田スイ作品の「東京喰種トーキョーグール」です。この2作品は共に主人公が人間ではない人型の化け物であり、普段は人間と共存しているものの社会から疎外される一面もあり、尚且つ拷問によりその再生能力の高さを嘲笑う天敵がいるという非常に設定が似通っているものでした。
題材は似ているけれど、「亜人」に関しては亜人自身の意思により人間との共存性が高く、ただ、再生能力(防御力)が高いだけなのです。「トーキョーグール」では身体能力・再生能力が高いけれど滅びうる存在としてグールが描かれていました。しかし、亜人は絶対に死にません。
もしかすると、生と死の無限ループの中で本当に平和に生きたいと思えるのは亜人の本質なのかもしれないと思います。圭は佐藤の問いにどう答えるのでしょうか。障害を乗り越えることの難しさを世に問う問題作です。
文章:Shinichiro.S