出典:©上山道郎・少年画報社/悪役令嬢転生おじさん製作委員会・MBS
◆転生おじさんから、蘇生おじさんになるために。
52歳堅物公務員・屯田林 憲三郎(とんだばやし けんざぶろう)は、少年を助けようとトラックの前に飛び込んで、死んだ。いや、死んではいなかった。
娘がつけっぱなしにしているゲーム画面の向こう、『マジカル学園ラブ&ビースト』の悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌとして、生きていたのだ。
グレイス(憲三郎)はゲームクリアが元の世界に戻る条件と信じ、家族が見守る中、悪役令嬢に成りきろうとする。が、模範的社会人気質が、それを邪魔するのだ。
グレイス憲三郎がいつも持ち歩いている扇子がカギを握る?
失言を抑える
嫌われ役を演じながら、ヒロインのアンナを学園王子の誰かと、くっつけさせねば。
「あなた、平民の出なんですってね。さぞかし・・・」ここで、いびり言葉を投げかけるはずが・・・口から出たのは、
「聡明な親御さんに大事に育てられたのですね」
アンナの自分に対する好感度を爆上げしてしまった。初対面に失敗し、アンナはいつもグレイス憲三郎のそばから離れようとしない。
悪役らしからぬ方向に口を滑らせては、自分の好感度を上げてしまう。
なので、戒めのため、扇子で口元を常に隠している?
名前を書きとめる

出典:©上山道郎・少年画報社/悪役令嬢転生おじさん製作委員会・MBS
グレイス憲三郎は名前を覚えるのが苦手。特にカタカナが苦手。なので、扇子に名前を書き込んでいる。
「グレイス・オーヴェルヌ」自分のフルネームは書きこまなくても大丈夫か?
特長も書き留めておかないと、誰が誰やらわからなくなると思われ。
イキル
グレイス憲三郎は、夢の中で本物のグレイスと邂逅する。だが、本物グレイスは長時間閉じ込められて疲弊しているのだろう、死んだ目をして、考えるのもやめてしまった無気力状態。
ここに扇子があれば・・・
そんな彼女の様子を左団扇で眺めるのも、悪役っぽい上に、一興だったろうに。
トラックにはねられて飛び込んでしまった乙女ゲームの世界で、はたしてなれるのか?
悪役令嬢に?
グレイス憲三郎にとっては、扇子は何かと役に立つが、型通りな社会人言葉のセンスはむしろ足を引っ張る。ただ、美女で中身がおじさんだと、モテモテになれるってことは判明。
文章:ヒトツメロバ