出典:©ちみも
あらすじ
海辺の古民家で暮らす三姉妹の「むつみ」「はづき」「めい」。
彼女達の元にある日突然「ちみも」という謎の生き物達がやってきました。
見た目は丸くて可愛い彼らですが、実は「ちみも」は「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」の略称。
鬼の形相をした地獄からの使者「地獄さん」のしもべ達だったのです。
地獄のはじまり
鬼神(おにがみ)家の三姉妹の三女「めい」は、ある日家の中で何かを見つけて悲鳴を上げます。
めいの悲鳴に長女の「むつみ」と次女の「はづき」が駆けつけ、そこで三人は白くて丸い謎の生き物を捕獲します。
誰かのペットが迷い込んだのかも知れないと思った三姉妹は、飼い主が見つかるまでこの生き物を家に住まわせる事にしました。
「おもち」と名付けられたその生き物はどんどん仲間を呼んで、最終的には12匹になります。
それでも三姉妹は彼らと過ごしますが、ある日「地獄の使者」を名乗る鬼の形相の「地獄さん」が三人の前に現れます。
「人間界を地獄にする」という目的でやってきた地獄さんと、12匹の魑魅魍魎こと「ちみも」。
三姉妹は彼らの真の目的など知らないまま、身寄りのない地獄さん達を家賃3万円で家の物置に住まわせ始めました。
地獄では強かったけど
ずっと地獄で暮らしていた地獄さんにとって人間界は慣れない事だらけ。
家賃を払う為にアルバイトをしようと手当たり次第面接を受けますが、すべて落ちてしまいます。
鬼神三姉妹にも振り回されっぱなしで、人間界を地獄にするどころか寧ろ地獄さんが地獄を見せられる事も。
「地獄先輩」から【人間界地獄化計画】の報告書提出を迫られ、頭を悩ませる場面もあります。
地獄先輩からの詰めと人間界の厳しい荒波に揉まれながらも、地獄さんは人間界での暮らしに徐々に慣れていきます。
生活を共にするうちに鬼神三姉妹とも親しくなり、家族のような関係になっていきます。
ですが地獄さんとちみも達が人間界に来た目的は人間界を地獄にする事。いつかは必ずお別れしなければなりません。
地獄先輩に「近いうちに人間界を地獄化しないと処罰を下す」と脅された地獄さんは、とうとう人間界を一気に地獄にできる儀式を始めてしまい…。
誰もが地獄を生きている
ほのぼのとした日常をベースに、現代社会の厳しさや理不尽を風刺した描写が所々に挟まります。
ゆるかわイラストで有名な「カナヘイ」氏がキャラクター原案をされていて、作画はとても可愛くておしゃれな雰囲気です。
表情豊かにぬるぬる動く「ちみも」達がとにかく可愛いです。もちろん鬼神三姉妹も、地獄さんも可愛いです。
コミカルなドタバタ劇が展開される回が多めですが、温かい家族愛を描いたエピソードも多いです。思わずホロリとする場面も。
パッと見の雰囲気は子ども向けですが(もちろん子どもにもおすすめです)、最終回では今までのエピソードを踏まえた深いテーマが明かされます。
シビアな現代社会を生きる大人にとって、刺さる物が多い作品ではないでしょうか。
文章:藤川汐見