出典:© 水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会
「工房の魔女」と「塔の魔女」
それは現代社会の裏で、密かに争いを繰り広げてきた魔女の2大勢力である。
子供の頃の記憶がすっぽり抜け落ちている以外、ただの冴えない男子高校生の多華宮仄(たかみや ほのか)は、その体にいつの頃からか封印されていた「白いアレ」のせいで、魔女たちの争いに巻き込まれていく。
「工房の魔女」の火々里綾火(かがり あやか)も多華宮くん同様、子供の頃の記憶を失っていたが、命を賭けて多華宮くんを守るという使命だけは忘れていなかった。
多華宮くんを守る最善の手段を求めて、都合よく変わる二人の環境が面白い。
ただのクラスメイトから
「工房の魔女」火々里綾火は、多華宮くんの記憶喪失を逆手にとり、「その他の男子」として扱うことで「塔の魔女」たちの目を誤魔化してきた。
それでも警護のため、毎朝同じバスで登校し、教室の席も隣、日直も一緒。
日曜祝日や自宅では、同じ「工房の魔女」である多華宮妹を護衛に付けていた。
これが失敗だった。
「塔の魔女」一派に多華宮くんが見つかってしまったため、赤の他人のままではいられなくなった・・・というか、最も危険なのは、火々里さんの知らないところで、多華宮くんと一緒に風呂に入ったり寝たりとブラコン化していた多華宮妹だった。
許嫁になって
「塔の魔女」と多華宮妹の「これ以上の接近」を防ぐため、多華宮くんの警護を強化せねばならない。
そこで多華宮家の家族会議で母からタイミングよく出た話が「実はふたりは許嫁なの!」
多華宮母と火々里母の「互いの子供を結婚させる」の約束に従って許嫁となった。
こうして母は二人を駆け落ちへと導くのであった。
どこまで信じていいのだろうか?
なんだか母は魔法で操られているような気がしないでもない・・・。
ひとつ屋根の下で暮らす
駆け落ちするも、拠り所と考えていた火々里家自宅ビルが「塔の魔女」メデューサ一派との戦闘で吹き飛んでしまい、多華宮家へとんぼ返り。
ようやく多華宮家で同棲生活開始と思いきや・・・。
「白いアレ」の復活を隠すため、それを知るメデューサ一派を、裏取引で部屋に匿うことになった。
これまた失敗だった。
火々里ビルを破壊された恨みを爆発させた火々里母を、メデューサと協力して一旦は石化する。
それも、あっさり突破されて火々里母の一撃を喰らったのは、守るべき多華宮くんだった。
多華宮くんを守るためならあの手この手。
火々里さんはいつもどこか抜けているものの、実の親を敵に回すことも厭わない心意気には驚嘆するものがあり「守るものがある者の強さ」を見た気がします。
文章:百百太郎