出典:©天壱・一迅社/ラス為製作委員会2023
窓際で、ぼんやり佇んでいた第一王女プライド・ロイヤル・アイビーに突然、前世の記憶が甦る。
18歳の春にトラックに轢かれて死んだこと。
転生したこの世界は、乙女ゲーム『君と一筋の光を』の第一作目だということ。
極悪非道ラスボスキャラのプライドは最後には処刑され、替わって第二王女ティアラが女王の座につく・・・そんな運命を回避するため、奮闘する。
第一作目は、1回しかプレイしていない。
「予知能力」と言うには名ばかりの、ぼんやりとした記憶が頼りだ。
ゲーム内容を思い出そうにも思い出せない・・・
そうなった最大の失敗とは?
最初の邪魔
庶民の出ながら「テレポート」というレアスキルを買われ、プライドの付き人を兼ねた第一王子に抜擢されたステイル。
そのステイルとジルベール宰相の初対面時に、話の途中で頭をはたいて宰相の話を制止してしまう、ブライドの父アルバート殿下。
もし、この時、邪魔せず、最後まで語らせていれば・・・
2度目の邪魔
第一王位継承者プライドのお披露目会で、プライドたちの中に、またしてもジルベール宰相が割って入り、能力者の話題を持ち出そうとする。
が、再び彼の後頭部を殴った上に、ヘッドロックしながら連れ去ってしまうアルバート殿下。
プライドも彼が能力者にこだわる理由を、少しでも鑑みれば簡単だったろうに。
話の途中で腰を折られた結果、プライドは気に掛けることなく、スルーしてしまう。
ジルベール宰相の目的とは?
それは、恋人の不治の病を治せる能力者を捜し出す!
そのため、「全国民に能力を申告させる法律」を制定する。が、間に合わず・・・
恋人を失った上に、ラスボス・プライドに法律を悪用される。
結果的にプライドは多くの国民を死なせ、アーサーやステイルたちに追い詰められ処刑される。宰相のジルベールも自我が破綻。
仮に、プライドの記憶が確かだったら・・・
「万病の治癒」というチート能力を「植物の回復」と勘違いしているアホのアーサーに、ジルベールの恋人に触れてもらえば即解決。
だのに、ここまで苦労することになったのは・・・
初っ端に、未来予知で父アルバートの事故死を回避させたこと。
さらに彼の生存で、ストーリー改変があったにせよ、ジルベールの能力が「不老」とか、しょうもないことは覚えていても、話の核の部分を忘れ去っている・・・そんなプライドの記憶力にも原因がある。
そこには、トラックに轢かれた様子から、先のことばっかり考えて、周りを見ない性分もあるのかもしれない。
文章:ヒトツメロバ