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『ゴールデンカムイ』第八話「殺人鬼の目」【感想】

出典:©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

前回は蝦夷オオカミのレタラに家族ができ、アイヌの少女にして本作のヒロイン・アシリパさんの命の危機をレタラが救い200頭越えの熊殺し、伝説の男二瓶鉄造がその人生の最期を迎えるシーンまでを紹介したかと思います。今作は小樽の町で、はたまた小樽の港で重要人物が入り乱れる狂喜乱舞の物語となります。

例の囚人が連続殺人犯になっていた

基本的に脱獄王の白石とアイヌの少女アシリパさん、不死身の杉元は3人で行動します。白石の情報では「最近小樽の町では連続殺人が起きており、その死体には必ず「目」の文字が刻まれている」といいます。

それも気にかかりますが、日本軍の鶴見中尉が大戦中の北海道の英雄集団「第7師団」を乗っ取ろうと計画している事が判明します。目的は中国旅順攻略戦に関して国家としての師団への再評価を求めるためのもので、北海道を拠点に軍事展開をするというものでした。こんな酷い状況下に元新撰組の土方は同じ小樽で銀行強盗などを興じていました。伝説の日本刀を盗んだのです。

この鶴見少尉と土方の軽い接触もあり、白石の刺青の捕獲を目的に鶴見中尉の仲間牛山と土方が手を組んだり、状況はみるみる切迫していきます。ですが今話の主役は連続殺人鬼にして白石と同様刺青の元囚人・辺見和雄です。

白石の良縁・悪運

白石がらみのイベントが多くなってきました。牛山と土方に捕まった白石は「辺見和雄の刺青人皮(いれずみにんぴ)を持ってくる事」を条件に脅されます。

同じ頃、以前からの白石の情報で偶然にも刺青の所有者・辺見和雄を追っていた杉元とアシリパさんは、辺見がニシン漁の漁場にいると予測し、足を運びます。しかし、急な展開でアシリパの知人に鯨漁を手伝うよう促され鯨漁に方向転換します。鯨に槍をついて小さな船で引っ張られるアイヌの漁船の中から、一人投げ出された者がいました。杉本がなんとか救い上げたその人物は辺見和雄でした。

ソーラン節

予想外にアイヌの文化は今も守られているし、当時からアイヌの知恵は日本本土の社会に溶け込んでいた事がよくわかります。例えばまたぎと呼ばれる本土の猟師たちの文化もアイヌに影響を受けているし、熊狩りにはアイヌ犬は有効利用されていたようです。

全国的な祭りの風習でソーラン節というものがあります。元を辿れば、アイヌ文化の鯨狩漁の時に、漁師が過酷な鯨狩漁の際に眠気などで船から落ちてしまわぬように、気迫を保つために歌を歌った事がソーラン節のルーツだと言われています。

辺見という殺人鬼には壮絶な過去があり、小さな頃に弟が猪の餌になり、幼かった辺見はそれを陰で見守ることしかできなかったそうです。その頃から殺人は呼吸するのと一緒になったと話しています。杉本と辺見、鶴見中尉と土方。似たもの同士が交錯する淘汰の世界が幕を開けます。『ゴールデンカムイ』の名の通り宿命じみた関係性が怒涛の展開を見せ始めます。この先の展開は見逃せません。

 

文章:S.Shinichiro

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