出典:©賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA
頭が朦朧としているので、出勤前に栄養ドリンクをキメる昨今(挨拶)。
と、いうわけで、フジカワです。確かにAmazonは便利なんですが、物と場合によっては百均で買った方が得であることに気付いたりする今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回の記事は、「『地獄楽』第六話、『心と理(ことわり)』を観たよ!」などといった話です。
あらすじ
源嗣に致命傷を負わせ、画眉丸と佐切の前に立ちはだかる、備前の巨人(だいだらぼっち)、陸郎太(ろくろうた)。
強敵に立ち向かう二人だが……。
バトれ!
今話は、割と純粋なバトル回です。
なんせ相手は、規格外の身体とパワーを持つ奴。
すんなり倒せれば、誰も苦労はしない。
まず、その陸郎太の生い立ちに触れられます。
この陸郎太、規格外のパワーを持っていたのは、幼少期からのようで、ただの「遊び」の延長線上で、数多の人……そう、両親さえも殺している。
彼はそのまま大きくなったようで、どうも、全ては「遊び」らしい。
欲求も素直で、食欲が最優先である様子。
少し前後しますが、腹が減った時の暴走ぶりは凄まじい。
なんなら、空腹を訴える泣き声も、音波兵器レベル。
当然と言うべきか、普通の状態では、佐切の刀も、画眉丸の忍法も通じません。
佐切の内面
で、ですね。やはりというべきか、今話も、佐切の心理描写が丁寧です。
死にかけた兄弟子の源嗣を「女性ならではの優しさで」助けようとする姿もそうですし、源嗣から、こう言われます。
「男か女か、強さか弱さか、単純に二分化できない『中道』を行くのがお前なのだな」
(あ、一応注釈を入れておきますが、話の中のセリフそのままではないです。「こういう趣旨」だと思ってください)
この、源嗣の言葉が、佐切に決意を与えます。
「激情でもなく、冷徹でもない」、恐らく「ちょうどいい」スタンスを保つこと。
これが多分、後々の佐切の「支え」になるかと思われます。
やっぱりバトれ!
しかし、そんな内面はさておくにせよ、陸郎太は難敵です。
先述の通り、「普通の」状態では、一切の攻撃が通じません。
しかもと言うべきか、苦戦している画眉丸と佐切を、杠は見ているだけ。
杠の曰く、「こっちは情報収集担当」ということで、一切手を貸しません。
この辺、ある意味で期待通りですし、画眉丸も、無駄だと察しているのか、それ以上食い下がりません。
助けに期待できないのはいいとして、陸郎太が難敵であることには、変わりがない。
唯一の手立ては、「俯かせた状態にして、佐切が首を斬る」ことのみ。
当初、足を狙うべく計画するのですが、いざそのチャンスが来ても、陸郎太の足には、佐切の刀が入りません。
さらには、途中で陸郎太が空腹になり、暴走モードに。ますます手がつけられない。
さあ、どうなる? 一計を案じた画眉丸は、周囲の木々に、忍法で火を放ちます。
火事で怖いのは、炎よりも、熱よりも、物が燃える際の「毒」、すなわち、一酸化炭素。
当然、江戸時代の人間に「一酸化炭素」という知識はないですから、ここでナレーションが入って、説明してくれます。親切。
「毒」は上空へ向かう性質があるため、上背の高い陸郎太は、まともにそれを吸い込み、窒息して、とうとう膝をつきます。
佐切の優しさ
「首の腱が伸びきった、その一瞬」を突き、佐切が刀を振り下ろします。
その際、やはり「中道たらん」とする描写が、海の波に被さって描写されます。巧い。
結果、佐切は、陸郎太の首を斬ることに成功します。
特筆すべきは、その瞬間から後。
陸郎太は、絶望に目を見開いたまま、首を斬られます。
(「その」瞬間、佐切の服の鈴が鳴る描写が、また巧すぎる)
これは、単なる深読みなのですが、陸郎太が、
「僕はただ、お腹いっぱいに食べて、誰かと遊んで欲しかっただけなのに」
と、目で言っている様子。
イメージの中で、佐切が、幼少期の陸郎太をあやすカットが入り、最後、彼女は、絶命した陸郎太の、見開かれたまぶたを、そっと閉じさせてあげます。
この優しさ、戦いにおいては不利に働くかも知れませんが、佐切の性根の良さを如実に表しています。
また前後するのですが、実は佐切は、山田朝ェ門としての序列こそ低いものの、それは、彼女が女性であるがゆえに「次期当主としての適性」においてのみ、格下にされている。
ですが、序列は低くとも、バケモノには怯みこそすれ、罪人を前にした剣の腕前という点においてのみは、「超一流」です。
この辺、僕自身も、ちょっと見誤ってました。謹んで、訂正します。
とにかく、戦いは決着しました。
その頃……
周辺に火の手があるわけですから、画眉丸達も、動かないことには焼け死んでしまいます。
兄弟子を弔うことすらできず、佐切も、悔しさをにじませながら、脱出。
逃げていった先で、杠たちに追いつくのですが、なにやら様子がおかしい。
四人の眼下に広がるのは、集落と思しき場所でした。
仙人がいるらしい、ということが分かるのですが、折も折、弔兵衛と桐馬の前に、何か怪しげな人間らしきものが二人。
……つうか、めっさ濃厚なキスシーンを伴っての登場なんですが、地上波で許される描写なんでしょうか。いや、僕が観ているのは、アマプラバージョンですが。
まとめ
もちろん、バトルは見所ではありました。
それは置くとして、そもそも、神仙「郷」と呼ばれるからには、「誰かの生活がある場所」という解釈が成り立ちます。
今話は、引きとして、その伏線が回収された格好ですね。
公式サイトを見ると、「登場人物」の欄に「天仙」が追加されてますし。
さて、このキャラクターが、今後の物語に、どう影響していくか?
引き続き、目が離せません。
んじゃまた。
文章:フジカワ