出典:©LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト2014
いやいや、声優さんだって普通にすごいんでうぃすよ
今日までいろんなアニメを見て、いろんな声優さんを知って、そのすごさを感じてきた私だが、一番(声優のすごさが)分かりやすいのは『妖怪ウォッチ』だと思っている。
一人の声優さんが何人ものキャラを演じているのだ。
映画の一作目、『映画妖怪ウォッチ 妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!』のエンドロールを見て、その兼役の多さにびっくりした程だ。一番多い人では一人で十人も演じているではないか。
確かに映画なので一言のキャラもいたが、どのキャラも本編では、その話のメイン妖怪としてすごく喋っている。なので、バラバラでも一人で何人ものキャラを演じていることになる。
映画でなくともエンドロールに出ているキャストは時々一人八役と表記されていたりする。基本は一人一役しか書かれないので、一人三役以上の表記を見れた時はラッキーだと私は思っている。
妖怪ウォッチでサーチだ
何よりもすごいのはその演技力だ。
マヌケそうな声、もしくはマスコットのような声からセクシーな声にボーイッシュな声とキャラに合わせて声を変えている(またはおじいさんの声から普通にイケボ)。エンドロールを見るまでは分からないくらいだ。
先にも述べたが、エンドロールに書かれるのは基本一人一役なので、この声は一体誰だったのか、と狐につままれたような気分になる。そうか、これが妖怪の仕業か!
こんなの絶対におかしい!今度こそ妖怪の仕業だ!
これほどまでに高いスペックを持っているのにも関わらず、映画では重要なキャラは素人が演じることが多い。
なんでだよ!『鬼滅の刃』とかが流行って、声優をあげまくったくせに映画の重要な役は素人なんだ。ひどいよ、普通にひどい。
なんでだといったが、本当は分かっている。
世間的にいえば、どこの誰かも分からない役者より、旬の俳優の方が話題になるからだ。
昔はプロ声優を使っていたが、最近では素人しか使わなくなったジブリの宮崎駿監督はこんなことを言っていた気がする、一瞬見ただけなので確証はないが。自分で見つけて育てたいみたいなこと。
すごい人の考えることは分からないものだが、ジブリでアフレコして本当に声優になった俳優はいるのだろうか。もしかして、新海監督も同様の理由なのか。
どんな理由でもこっちはプロを使ってほしいのだ。素人の声はとても浮いているし、若干棒読みだ。
きっと本業ではそんなことにはならないのだろうが、よりによって一番スポットの当たる役を演じたから、周りからの野次もすごそうだ。
例えるならこうだ。
「お前、明日はおしゃれなスポンジケーキ作れ」
「えっ、いや、自分和菓子専門なんですけど…」
「どっちもお菓子なんだから大丈夫。じゃ、頼んだぞ!」
「そんな無茶な」
そして何も知らないままなんとか独学で作ってみたものの、
「美味くねえな」
と、一蹴されてしまうのであった。
きっと、こんな感じだ。この和菓子職人も、自分の専門分野ならこんなことにはならなかっただろうに。
あまりにも自分たち(声優)を使ってくれないので、こんなことを言った人がいた。
これから名作と言われる映画には、私たちプロは出ないと。
なんて悲しいことを言うんだ!こんなことを言うことになるなんて、きっと社会という名の妖怪のせいに違いない。
メディアが取り上げるから最近では声ではなく、見た目重視の声優になってしまったらしいのも妖怪、社会のせいか。
よおし、俺の友達、出てこいごまスリー!妖怪メダルセットオン!
ごまスリー、社会をやっつけて!
果たして、ごまスリーのゴマすりは通用するのだろうか。声優が普通に映画に出られるような社会になることを期待している。
文章:hyperhyperparasite