出典:©TNSK・講談社/春来亭活動写真部
時は大正時代。
淡路島から大阪にやってきた妖怪・豆狸の「まめだ」
化け術で人を化かそうとするものの、全く通用せず、街の人から追われる羽目に。
そこを助けてくれた妖狐は落語家「大黒亭文狐」として、話芸で人を化かしていた。
「わたしも人を化かせるようになりたい!」
まめだは文狐の元へ押しかけ、落語家を目指す。
とはいえ文狐師匠は「芸は盗め」と、なかなか稽古を付けてくれない。
それもそのはず、大黒亭は文狐の代で畳むのだという。
他に師匠に適した人物はいないのだろうか?
恵比寿家 歌緑(えびすや うたろく)
落語を演じている時以外は、いつも咳き込んでいる。
人がしゃべっている時ほど、それを邪魔するかのように特に激しく咳き込む。
単にタバコの吸いすぎという説があるものの・・・その病気的なこと。
これでは稽古になりません。
大黒亭 文鳥(だいこくてい ぶんちょう)
元々は小さな祠に祀られていたお狐様だった文狐。
江戸時代から明治、大正と時が進み、文明の波に抗えず、祠は捕り潰され、住処を奪われてしまった。
「もう一度、あの頃の・・・江戸時代の人たちに会いたい」
落語の世界で江戸時代の人たちと再会できることを文狐に教えてくれたのが、文鳥師匠だった。
こうして文狐は文鳥に拾われ、弟子入りする。
そんな奇跡を見せてくれる文鳥に弟子入りしよう・・・だが、すでに他界しているのだ。
椿 白團治(つばき びゃくだんじ)
突然、ふらっと寄席に立ち寄り落語を披露して、爆笑をとって去っていく。
流しの落語家で爆笑王で借金王。
身ぐるみはがされ、雪の中に埋まっていたところを発見されたりと、まさに神出鬼没。
ネタで軍人高官を茶化したことで、政治犯に仕立て上げられて投獄されていたこともある。
このようにいつ消息を絶ってもおかしくない人物である。
らくだ
椿白團治の弟子・椿しららの実家でもある極道・黒駒一家の若頭として、借金取り立てを請け負っている。
しららと仲のいいまめだの落語の練習にも付き合う。
弟子入りどうこういう以前に、落語家ではないのだ。
舎弟にされ、兄貴と呼ばされることになりそうなのだ。
たぬきの落語、「た」は抜いても「手」は抜きません。
三味線などに変身できるので、ぜひ弟子に欲しいくらい。
だが、周りはダメ落語家ばかり・・・
「師匠選びに、支障をきたしています」
おあとがよろしいようで・・・
文章:ヒトツメロバ